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日本が「韓国提訴」を検討する国際司法裁判所とは

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国際司法裁判所

徴用工訴訟をめぐり、日本政府が日韓請求権協定に基づき要請した仲裁委員会の設置に、韓国政府が応じなかったことで、日本政府は次の手段として国際司法裁判所(ICJ)への提訴を検討しているといわれる。  

ただ国際司法裁判所に訴えれば、すんなりと裁判が始まるのかといえばそうではなく、なかなかハードルは高い。国際司法裁判所とはどのような組織なのか。 

被告国の同意がなければ裁判開始できず 

国際司法裁判所は国際連合の主要機関で、国家間の法律的紛争に関する裁判と、法律問題について勧告的意見を与える二つの役割を担っている。全体の80%は裁判が占めており、これまでに国境線や領土、人道問題、外交関係などの紛争を取り扱ってきた。国際司法裁判所によって下された判決は拘束力があり、関係各国は判決に従わなければならない。

裁判は一審制で、上訴はできない。ただし当事者が判決に異議がある場合は、解釈を要請することができるほか、それまで知られていない重要な事実が新たに発見された場合は判決の再審を要請することができる。

訴訟当事者となれるのは国家のみで、被告国が裁判の開始に同意して初めて管轄権(国際司法裁判所が当事国に対して国際法を適用し行使する権利)が成立する。このため、単独提訴しても被告国が同意しなければ裁判が行なわれることはない。

仮に日本政府が国際司法裁判所に提訴しても、仲裁委員会の設置を拒んだ韓国政府が、国際司法裁判所の裁判開始に同意する可能性は低そうだ。そうなると日本政府が提訴する裁判は、いつまでたっても開かれないことになる。

それでも日本政府が国際司法裁判所に提訴することによって、韓国最高裁が下した日本企業への賠償命令が、国際法違反であることをアピールする効果はある。労力はかかるが、日本の正当性を国際社会に主張していくのか、それとも他の方法を模索するのか。近いうちに日本政府の対応が決まる。

一方、韓国政府は日本政府が実施した半導体材料の輸出規制が国際法に違反していると非難しており、国際貿易機関(WTO)に提訴する意向を示している。日本政府による国際司法裁判所への提訴は、こうした韓国政府のWTO提訴の動きを踏まえての難しい判断となりそうだ。

15人の裁判官で構成 任期は9年

ちなみに、国際司法裁判所は1945年に、米国サンフランシスコで署名された国連憲章により設立され、1946年にオランダのハーグで活動を開始した。それぞれ異なる国から選出された15人の裁判官で構成されており、任期は9年。3年ごとに5人の裁判官が入れ替わる。

現在はソマリアが国際司法裁判所所長を、中国が同副所長を務めており、そのほかにスロバキア、フランス、モロッコ、ブラジル、米国、イタリア、ウガンダ、インド、ジャマイカ、オーストラリア、ロシア連邦、レバノン、日本の13カ国から裁判官が選出されている。公用語は英語とフランス語。

文:M&A Online編集部

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