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韓国のGSOMIA継続申し入れは本当に「日本の勝利」なのか?

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イージス艦が収集した北朝鮮の弾道ミサイル情報など、日韓で軍事情報をやりとりするのに必要なGSOMIA

韓国の「切り札」として残るGSOMIA

そもそも今回の韓国の「妥協」は日本の外交成果ではなく、米国からの強い圧力に屈したと見るのが正しい。マーク・エスパー米国防長官は同11月15日に韓国を訪問し、チョン・ギョンドゥ国防相にGSOMIAの継続を強く働きかけている。一方、日本は韓国に積極的な働きかけをしていない。

同17日にタイで開かれた日米韓防衛相会談では、エスパー長官が日韓双方の外相に向かって「GSOMIAがなくなれば北朝鮮と中国が利益を得るだけだということを、あなたたちの政治的指導者に確認してほしい」と、双方の歩み寄りを強く求めている。韓国が投げてきたボールを投げ返さず、GSOMIAが再び失効の危機を迎えれば、日本も米国から強い外交圧力にさらされることになりかねない。

エスパー米国防長官は日韓両国に関係改善を強く働きかけている(米軍ホームページより)

なにより問題は、韓国がGSOMIAという「切り札」を持ち続けていることだ。国内報道では「GSOMIAが失効すれば困るのは韓国だ」と伝えられているが、韓国にとってGSOMIAは北朝鮮に対する外交的な圧力の一つにすぎない。

「弾道ミサイルの軌道と性能を正確に知るには自衛隊の収集したデータが必要」とも指摘される。が、韓国の首都ソウルから南北の軍事境界線までは直線距離で約40km、東京駅から成田国際空港までの距離(約57km)よりも近い。弾道ミサイルどころか自走式多連装ロケット砲の射程距離内だ。つまり韓国にとって弾道ミサイル情報は北朝鮮の軍事技術力を知る上では有用だが、実戦に限定すれば必須の情報ではない。

むしろGSOMIAが失効すれば、韓国が収集した北朝鮮の内部情報を得られなくなる日本の方がダメージは大きくなる。日朝は事実上の断交状態で、朝鮮半島の和平プロセスにも深く関与できていない日本にとって、韓国ルートで北朝鮮情報が入手できなくなるのは国防以前に外交上の大きなマイナスだ。

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