スペースデブリの移動速度は地表から300~450kmの低軌道では秒速7~8km(時速2万5200~2万8800km、マッハ20.5~23.5)に達し、直径10cmのデブリが衝突すれば現行の宇宙船などひとたまりもなく完全に破壊される「宇宙の凶器」だ。
現在は北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)の宇宙監視ネットワークやロシアの宇宙監視システムなどが10cm以上のデブリ約9000個をカタログ登録して常時監視している。接近情報を受けた人工衛星や宇宙ステーション、ロケットが軌道修正してスペースデブリを回避しているのが現状だ。
これまで「逃げる」しかなかったスペースデブリ対策に一石を投じるアストロスケール。同社は2020年に「ELSA-d(エルサ・ディー)」を打ち上げ、デブリ除去の技術実証実験に乗り出す。スペースデブリの動きに合わせてスペースデブリ回収衛星が接近し、アームのような捕獲機構を伸ばして捕獲。その後、スペースデブリもろとも大気圏に突入して燃え尽きる仕組みだ。
スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)など民間宇宙企業の登場でロケット発コストは安くなっており、通信や観測など民間人工衛星の打ち上げ件数は急増している。スペースデブリとの衝突リスクは高まっており、スペースデブリ対策は急務だ。実証実験が成功すれば、アストロスケールの資金調達はさらに加速するだろう。
文:M&A online編集部
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