予想1「TOB合戦が発生する」

一般投資家にとって最も面白いシナリオは、間違いなくスギHDとマツモトキヨシHDがココカラファインをめぐってTOB合戦を行うことでしょう。

しかし、本件が業界全体の状況としては弱者連合の形成であること、両社とも現金買収となれば不可能ではないものの資金負担は極めて重く、他の大手競合他社との競争も続くことを鑑みれば資金余力の大半を本件に投入することは極めて危険な戦略と考えられることなどから、TOB合戦が現実のものとなる可能性は極めて低いと思われます。

予想2「ココカラ・スギ・マツキヨの3社連合が誕生する」

予想1とは真逆に、スギHDとマツモトキヨシHDが協調路線をとり、3社連合が形成されるというシナリオです。合理的に考えれば、本件は業界大手のうちの下位3社が当事者なので、買収合戦を行って敗れたときに単独での生き残りという問題に直面することが予想されます。であるならば、むしろ協調して3社連合としてしまった方が双方とも利益があると考えられます。

この場合、株式移転によるHD設置や株式交換等により非現金買収となると考えられますので、統合比率次第ではプレミアムを享受する株主もあると考えられますが、限定的なものとなると考えられ、また現金化の機会はないということになりますので、一般株主にはあまり面白みがないかもしれません。

他方、もしこのシナリオが実現すれば、ドラッグストア業界にひと回り大きなガリバーが登場することとなり、他の大手間でも合従連衡を検討せざるを得ない状況が発生すると考えられます。そうなるとドラッグストア業界全体で業界再編が加速し、同業他社の株価動向に注目が集まる可能性があると考えられます。

独禁法のリスク等もあり、そう簡単な話ではありませんが、これはこれでなかなか面白い展開が期待できそうです。

予想3「既存の交渉が淡々と進む」

TOB合戦も3社連合も、いずれにせよ大きな動きが出るシナリオですが、実際にはほぼ無風で終わってしまう可能性もあります。具体的には、スギHDとココカラファインが株式交換等の非現金買収により経営統合を行い、マツモトキヨシHDと当該統合新会社が持分法程度の相互株式持ち合いを行う、などのケースです。

この場合、スギHDとの経営統合に伴う株式交換ココカラファイン株主が一定のプレミアムを享受できることが期待できますが、その場合おそらく市場平均の20~30%程度が目安となるかと思います。

いずれにせよ、まだ交渉は始まったばかりで、まだいかようにも動きうる状況です。しばらくの間、3社の交渉の行方とココカラファイン株価の動向は注視に値する状況が続くでしょう。

文:巽 震二(フリーランス・マーケットアナリスト)