「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」(学校法人東京医科大学内部調査委員会の調査報告書)などということで、女性の受験者に対して不利となるような得点の調整を行っていた東京医科大学の不正入試問題。この報道を聞いた時、みなさんはどのように感じられたでしょうか。
上記の調査報告書では、「女性の受験生をただ女性だからという理由だけで差別してきたことに関しては、社会が女性の活躍を促進するべく様々な方策を施していることに真っ向から反抗するものであって、断じて許されるべきではない。」とばっさりと言い切っています。また様々な報道をみても「女性がやめなくて済むような勤務形態とか働き方とかを真剣に考える方が先で、それで入試の点数を操作するなんて許されるべきではない。」という論調が大半だったかと思います。
確かにおっしゃる通り。私自身も一女性としてこのような調整が入試で行われるということは本当に腹立たしいと感じます。ただ、東京医科大学をバッシングしておしまいにしていいお話ではないように思います。むしろ、バッシング報道が色々な議論の機会を奪っているようにも思えてきます。
医師向けの人材紹介エムステージが、今回の東京医科大学の対応について女性医師を中心にアンケートしたところ、肯定的な回答(「理解できる」「ある程度理解できる」)と回答した医師が65%ということだったとのことでした。
男性医師ではなく女性医師がこのように答えているということは興味深いことです。「現状では仕方がないというあきらめの境地」とか、「産休や育児休暇で抜けた穴をカバーしている未婚の女性医師が複雑な環境を吐露している」とした分析がされています。産休・育児休暇でお休みをとる人、復帰後の時短勤務のカバーをしている未婚の方や男性社員が持つ割を食ったような感情は何も医師に限ったことではなくよくあるお話です。ただ、このようなホンネは口に出すことはできない空気があります。
一方でお休みや時短勤務をしている側としては子育てで必死です。なかなか自分の仕事をカバーしてくれている上司、同僚、後輩に感謝や配慮するまでの余裕がない場合も多いかと思います。いきおい「こんなに頑張っている」といった自己主張をしてしまうケースもあるかと思います。
支える人と支えられる人、両者の溝は深まるばかりです。「何か報われていない感じ」や「何か損をしている感じ」といった感情が渦巻いている職場も結構あるのではないでしょうか。
性別に関係はないですが、米国のPR会社Edelmanの調査では、世界28カ国中、日本人は、「世界で、最も自分の働く会社を信用していない国民」という結果がでたそうです。「自分の会社を信用するか」と言う問いに対して「信用する」と答えた割合はわずか40%で調査した中で最低で、米国(64%)、イギリス(57%)、中国(79%)、インド(83%)よりはるかに低く、ロシア(48%)よりも低いそうです。
その要因の仮説として筆頭で挙げられているのが、「長時間労働」です。(東洋経済オンライン 2016年9月4日号)つまり、女性活躍促進を妨げている長時間労働は、女性の活躍を阻んでいるだけではなく、性別に限らず働く人のモチベーションを下げ、会社と個人の信頼関係を壊している残念な結果のようです。
最近は、「働き方改革」で長時間労働を見直す動きも出てきています。
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