ビジネスコラボレーションツールを展開しているアメリカ発のベンチャー企業「Slack(スラック)」が4月26日、SEC(米証券取引委員会)にForm S-1(IPO時に提出する証券届出書)を提出した。スラックは、2014年に設立されたばかりの会社にもかかわらず、世界中でサービスを展開している急成長企業だ。すでに1500億円近くの資金調達を完了している。

NY証取へ直接上場する理由は

主にビジネスコラボレーションツール(簡単に言うと、ビジネス用のチャットツール)をサブスクリプションモデルで展開する事業を行っているが、国内でも利用を開始する企業が増えており、筆者自身も総じて高い評価の口コミを耳にする。

そんなスラックは今年夏ごろにニューヨーク証券取引所に上場する見込みだが、世界的な音楽配信サービス会社のSpotifyの上場時(2018年4月)と同様、上場時に新株発行を行わない「ダイレクト・リスティング」により上場する予定とされる。ダイレクト・リスティングは直接上場とも呼ばれるが、この方法で上場することの一般的なメリット・デメリットは以下のとおり挙げられる。

メリット

・主幹事証券会社を置く必要がないため、莫大な手数料を支払う必要がなくなる

・新規の株式が発行されないため、既存株主の保有する株式が希薄化しない

ロックアップ制度が適用されないため、既存株主は上場後自由に株式を売却できる

デメリット

・上場時に市場から資金を調達できなくなる

・会社の認知度が高まらない可能性がある

・上場初日の株価が乱高下する恐れがある

スラックからすれば、これまで行ってきた資金調達のおかげですでに十分過ぎるほどの現預金を保有しており、また、世界中での認知度も高いことから、わざわざ高い上場コストを払ってまで主幹事証券会社を通したIPOを行う必要はない。そのため、昨年のSpotifyと同様、ダイレクトリスティングを行うこととなったのだ。