ビズサプリの泉です。
GWも終わり、新人のみならず5月病になっている方も多いのかと思います。私自身は監査法人勤務時代から4月から6月までは繁忙期となっていて、あまりゆっくりした記憶はなかったのですが、今回の10連休では、たまたま仕事の都合がつき期間の半分ほど休むことができました。
経理のサポート業務をしている3月決算の会社では、株主総会、有価証券報告書作成とまだまだ残っており、それが終わるとすぐに第一四半期かと思うとなかなかすっきりはしない気分です。
今回は経理部門内であまり興味をもたれづらい経過勘定をとりあげたいと思います。
経過勘定とは、一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、また提供を行う場合に適正な期間損益計算の観点より、実際の現金の収支時期と損益計上の時期が異なるために計上される勘定です。
経過勘定は企業会計原則注解5において、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4つ定義されています。
前払費用(資産):いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価
前受収益(負債):いまだ提供していない役務に対し支払を受けた対価
未払費用(負債):既に提供された役務に対していまだその対価の支払が終らないもの
未収収益(資産):既に提供した役務に対していまだその対価の支払を受けていないもの
似たような科目としては、未収金、未払金、前受金などがありますが、これらは厳密にいうと一定の契約に従い継続して役務の提供を受ける場合以外の例えば、物品の売買などの取引に利用されます。とはいえ、実際の実務において、未払金と未払費用など厳密に区別せずに使用することも多くあり、会社によっては確定債務は未払金、それ以外は未払費用として使用している会社もあります。
決算整理仕訳とは、年度決算の前に月次決算では実施していなかった仕訳を計上することであり、簿記の本などによれば主な仕訳は次の通りです。
・売上原価の確定(期首在庫と期末在庫の振替)
・見越し計上や、繰延計上(経過勘定)
・減価償却費の計上
・有価証券の評価、外貨建資産負債の換算
そのため、簿記の勉強だけをしていると、経過勘定の仕訳は年度末の決算整理仕訳でのみ行うと考えがちです。実際、非上場企業で税務基準、現金主義で記帳している会社では、月次決算を行っていないこともあり、年1回の決算整理仕訳で上記のような仕訳を行うことはよくありますし、一部の中小企業向けの会計システムでは固定資産の減価償却費を月次で計上することができず、年度に一括計上するしかないものがあります。
上場会社では、月次決算を行っており上記のような経過勘定の仕訳や減価償却費も月次で計上しているため、年度決算といっても、ほぼ月次決算に加えて、減損や退職給付債務の計算などの本当に一部の仕訳だけをすることとなります。
そのため、会計システムにおける伝票区分においても、あえて「決算整理仕訳」として区分せず、「通常仕訳」のみを利用している会社も多くあり、結果として、「決算整理仕訳って何だっけ」と思っている経理部員も多いのではないでしょうか。
経理部門における役割は、開示制度が大きく変わってきたここ十数年は財務会計が重視されていました。それが一段落して、管理会計にも一定の役割を果たすことが求められているという流れがあるようです。