新規事業のカギを握る子会社

宝印刷はトランスラジア、十印を含めて子会社11社を傘下に置くが、その半数近くはM&Aを通じてグループ入りした。既存事業とのシナジー(相乗効果)獲得を主眼とする。

その第一弾は2006年に子会社化したタスク(東京都豊島区)。IPO(新規上場)・M&A支援を主力に、人材流動化、不動産売買支援、AI(人工知能)活用による企業プロファイリング事業など様々なコンサルティング業務を手がける。

2013年にはシステム開発のスリー・シー・コンサルティング(東京都豊島区)を子会社化した。法定開示書類の自動作成システム「X-Smart」シリーズと予算作成システム「エクスプレス」を両輪とする。

2017年に子会社化したイーツー(東京都新宿区)はWebサイトの制作を主力とする。ディスクロージャー・IRの有力ツールであるWebサイトに関し、企画、デザイン、システムの構築・運用・保守まで一連のサービスをワンストップで提供している。

また、2018年2月にはリーディング証券(東京都中央区)から、J-Adviser業務を取得した。東証がプロ投資家向け市場として運営するTOKYO PRO Market(2012年開設)に上場を希望する企業に対し、上場審査や上場適格性の審査などを東証から委託され、実施するのがJ-Adviser業務。上場企業に対する、いわば主幹事証券に近い役割を担う。

安定成長へ「200億円」後をどう見据える?

主力の浮間工場(東京都板橋区)

現在進行中の「新・中期経営計画2020」(3カ年)は最終年度の2020年5月期に売上高191億円、営業利益19億円、最終利益13億円、ROE(自己資本利益率)9%を目標に掲げる。「売上高200億円台」にリーチをかける。

売上高は3年間で40億円引き上げることとなるが、既存事業で10億円、新規事業で30億円を賄う計画だ。既存事業では決算・開示関連コンサルティング、翻訳業務、IT商品(X-Smartなど)の伸長を見込む。

新規事業でカギを握るのが子会社との連携だ。タスクによるM&A事業とPR事業などで21億円の増収を計画するほか、Webサービスではイーツーとの協業促進で4億円の増収が見込める状況にあるという。

宝印刷の存在感はディスクロージャーの分野で群を抜く。ただ、国内市場の縮小などを背景に長期的には上場企業数の増加が見込みにくい情勢だ。こうした中、「200億円」後を見据えて、持続的な成長路線を確保するためには、M&Aを織り交ぜながらグローバル展開を加速することになりそうだ。

◎「新・中期計画2020」の推移(19/5期は予想、20/5期は目標)

18/5期19/5期20/5期
売上高158億円169億円191億円
営業利益15億円16億円19億円
最終利益11億円12億円13億円
ROE8.0%8.3%9.0%

文:M&A Online編集部