売上構成は「制度開示」6割、「任意開示」4割

戦後、東京株式市場が再開されたのは1949(昭和24)年5月。その前年、企業のディスクロージャー制度などを定めた証券取引法(現在の金融商品取引法)が施行された。宝印刷(当初は宝商会)は1952年にディスクロージャー関連書類の専門印刷会社として創業し、再出発した戦後の金融・証券市場と歩みをともにしてきた。

社名の「宝」は当初、印刷業と保険代理店でスタートした際、保険契約の得意先だった日産自動車の本社があった横浜市宝町に由来する。

ディスクロージャーは金融商品取引法や会社法など法律に基づき作成される制度開示と、株主・投資家に投資判断の材料を提供する任意開示に大別される。宝印刷の2018年5月期の売上高(158億円)をみると、制度開示関連60%、任意開示関連40%の構成となっている。

制度開示は金商法に基づく有価証券報告書、四半期報告書、有価証券届書、上場申請書類など、会社法に基づく株主総会招集通知、決議通知、配当金関係書類など多岐にわたる。高度な知識と専門性が要求されるうえ、その開示手段も従来の紙媒体から電子データ化へと大きく変化してきた。

金融庁(EDINET)や東証(TDnet)に提出する財務データはXBRLという共通言語で電子化されているが、これに対応した書類作成支援ツール「X-Smart」をいち早く提供。X-SmartはIFRS(国際会計基準)対応、決算のスピードアップ、上場準備など様々な場面で利用されている。

一方、任意開示はいわゆるIR(投資家向け広報)を目的とし、株主に向けて決算情報や事業内容を分かりやすく伝える株主通信や事業報告書などが代表的。最近はやりのCSR報告書、環境報告書、統合報告書も任意開示に含まれる。

上場企業の半数以上が顧客

現在、国内の上場企業数は約3660社。宝印刷の取引者数は1962社(2018年5月期)と全体の半数を超え、強固な顧客基盤を誇る。

招集通知や決算短信の翻訳に加え、近年は統合報告書の翻訳ニーズが急速に高まっているという。翻訳受注件数は2018年5月期1757件で、4年間でほぼ倍増。19年5月期は2000件に迫る勢いだ。対応言語も英語にとどまらず、中国語、韓国語などに広がっている。

そうした中、2月にグループ入りしたばかりなのが翻訳・通訳サービスの十印(東京都港区)だ。

同社は1963年創業で、多言語対応、技術翻訳、マーケティング関連文書の翻訳などを得意とする。翻訳サービスの国際規格「ISO17100」を取得し、42カ国語の翻訳に応じている。同社の子会社化で、翻訳サービス品目の拡大、多言語への対応強化が進展しそうだ。

主な沿革とM&A
1952 宝商会を東京都港区に創業
1960宝印刷を設立
1988店頭登録
1998東証2部に上場
2001EDINET対応「TAKARA.DIC-NETシステム」が稼働
2003東証1部に上場
2006IPO・M&A支援のタスク(東京都豊島区)を子会社化
2008日本IPO実務検定協会(東京都豊島区)へ出資
2013システム開発のスリー・シー・コンサルティング(東京都豊島区)を子会社化
香港に駐在員事務所を開設
2015現地法人のタカラ・インターナショナル香港を設立
2016ディスクロージャー&IR総合研究所を設立
2017Webサイトのデザインのイーツー(東京都新宿区)を子会社化
2018リーディング証券(東京都中央区)からJ-Adviser業務を取得
海外翻訳会社のシンガポールTranslasia Holdingsを子会社化
2019翻訳会社の十印(東京都港区)を子会社化
金融関連印刷・サービスのToppan Merril(香港)と業務提携