M&A Online編集部が大量保有データベースで2020年6月の大量保有報告書の提出状況を調べたところ、経営陣による買収(MBO)の一環として米投資ファンドのベインキャピタルがTOB(株式公開買い付け)を実施中のニチイ学館<9792>について3件の報告書の提出があった。
いずれも変更報告書で、6月24日に退任したニチイ学館元副社長の寺田大輔氏が6月10日付で「株券等に関する担保契約等重要な契約の変更」を理由に、さらにアクティビスト(物言う株主)のエフィッシモ キャピタル マネージメント ピーティーイー エルティーディーが、6月22日と23日に「担保契約等重要な契約に関する変更」を理由に同報告書を提出した。
ニチイ学館は6月22日に、市場株価が公開買付価格を上回って推移していることから、同日までとしていた公開買付期間を2020年7月9日まで延長すると発表した。
ニチイ学館株の買付価格は1株1500円で、買付代金は最大約990億円に達する。TOB公表前日の終値1094円に対し、6月22日の終値は1646円にまで上昇していたが、買付価格の変更はしないという。
ニチイ学館については同社の創業者で会長の寺田明彦氏が2019年9月に死去しており、これに伴う同社株式の相続対策が関心を集めている。
米国の投資助言会社RMBキャピタルとの間で、取締役選任に関して対立していた三陽商会<8011>については3件の大量保有報告書の提出があった。
いずれも保有割合を引き下げており、ウエリントン・マネージメント・カンパニー・エルエルピーが1.25%減の5.17%に、ひびき・パース・アドバイザーズが1.06%減の3.95%に、三井住友信託銀行が1.91%減の4.09%になった。
2020年6月の大量保有報告書の提出件数は1052件で、このうち保有割合を増やしたのが262件、新規保有が130件、保有割合を減らしたのが585件、契約の変更などが75件だった。
コロナ禍の中、6月としては2018年の1006件を上回り、過去10年間で最多の件数となった。
文:M&A Online編集部