ニチイ学館は8日、MBO(経営陣による買収)を実施し非公開化すると発表した。森信介社長ら現経営陣の要請に基づき、米投資ファンドのベインキャピタルがニチイ学館に対してTOB(株式公開買い付け)を行い、全株取得を目指す。買付代金は最大約990億円。同社は介護事業と医療事務受託事業で業界トップに立つが、人手不足が深刻化し、安定的な人材供給体制の構築が不可欠になっている。こうした中、成長分野への展開を含め、大胆な経営改革を推し進めるためには非公開化が望ましいと判断した。
TOB主体となるのはベインキャピタルが設立したBCJ-44(東京都千代田区)。ニチイ学館株の買付価格は1株1500円で、TOB公表前日の終値1094円に37.11%のプレミアムを加えた。買付予定数は4953万998株(所有割合75.24%)で、下限は所有割合41.9%にあたる2758万6100株と設定。ニチイ学館の筆頭株主で株式24.76%を所有する創業家の資産管理会社「明和」はTOBに応募せず、TOB成立後にベインキャピタル側に全株式を譲渡する。
買付期間は5月11日~6月22日までの31営業日。公開買付代理人は野村証券。決済の開始日は6月29日。
ニチイ学館は1968年に創業し、医療事務受託事業を開始。1973年に保育総合学院(1975年にニチイ学館に社名変更)を設立し、1999年に東証2部に上場(2002年に東証1部に昇格)。医療事務受託を起点として、介護、人材育成、教育、語学などに事業領域を広げてきた。2019年9月に創業者で会長の寺田明彦氏が死去した。