1964年の東京五輪で大ブレークした「セコム」 1兆円企業に成長

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セコムの本社(東京・神宮前)

コロナの厳戒下、「東京2020オリンピック」が始まる。日本で夏季大会の開催は1964(昭和39)年以来57年ぶりだが、前回の東京五輪で飛躍のきっかけをつかみ、大成功した代表的企業といえば、セコムだ。今や連結売上高は1兆円を超え、警備業トップの座を不動にする。

日本初の警備会社、五輪で飛躍への切符

セコムの創業は前回の東京五輪の2年前の1962年。学習院大学時代の友人だった飯田亮(現最高顧問)、戸田寿一(故人、元最高顧問)の両氏が東京・芝公園で旗揚げし、巡回警備、常駐警備を始めた。当時の社名は日本警備保障。

日本で初めての警備保障会社で、まさに正真正銘のニュービジネス・ベンチャー企業として船出した。当時、欧米で広がりつつあった民間警備業という業態にヒントを得たのだ。

よちよち歩きの同社に幸運をもたらしたのが東京五輪。東京・代々木の選手村の警備を任され、無事故で大役を果たし、警備保障会社の存在が広く知られる契機となった。

さらに五輪翌年の1965年、同社をモデルにしたテレビドラマ「ザ・ガードマン」(主演・宇津井健)の放映がスタート。茶の間の絶大な人気を集め、会社の知名度が飛躍的に高まった。

1966年には日本で初めてオンラインによる安全システム「SPアラーム」を商品化し、24時間遠隔監視を実現。ホームセキュリティー分野にもいち早く進出した。1983年にブランド名だった「セコム(SECOM)」に社名を統一した。セコムはセキュリティーとコミュニケーションを組み合わせた造語。

「コロナ」下で迎える東京2020大会

警備JVを結成、オールジャパン体制で臨む

五輪・パラリンピックとはその後も深くかかわってきた。1972年の札幌冬季大会では競技会場の駐車場や周辺の交通整理などの警備を担当。1998年の長野冬季大会では選手村をはじめ27の運営・競技会場で警備を受け持った。また、2012年のロンドン大会では卓球やレスリング、柔道など7種目の競技会場の警備を担当した。

今回の「東京2020大会」にあたっては、セコムとALSOK(綜合警備保障)の上位2社を中心に14社が参画する警備共同企業体(警備JV)を結成し、「オールジャパン」体制で警備にあたる。

セコムは今大会を、「(前回の)東京1964大会の恩返しと位置づけ、警備業界のリーディングカンパニーとして安心・安全な大会に貢献できるよう全力で取り組む」としている。

セコムの2021年3月期連結業績は1兆358億円、営業利益1369億円、最終利益746億円。業界2位のALSOKを売上高で2倍以上、利益で約3倍引き離す。事業内容も警備業にとどまらず、1990年代以降、企業買収を積極化し、防災、メディカル(訪問看護、薬局など)、損害保険、航空測量など多岐にわたる。

コロナ禍で迎える東京2020大会。大半の競技会場は無観客という異例の大会となるが、かつてのセコムのように、飛躍への切符をつかむ新進企業は現れるのだろうか。

文:M&A Online編集部

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