これらの大型施設オープンにより、宇都宮の街はがらりと変化します。下のグラフは、駅周辺の歩行者の通行量の推移です。宇都宮駅を中心とした28地点の通行量を調査しています。パルコ周辺の通行量は、グラフの17地点合計(休日)に色濃く反映されています。白抜きの四角い折れ線グラフに注目してください。
2003年(平成15年)ごろから、急減しているのがわかります。その後、回復する兆しは見えていません。なお、パルコ近くに出店していた上野百貨店は2000年、西武百貨店は2002年に撤退しています。それが通行量減少に拍車をかける結果となりました。
一方、宇都宮市の人口は増加傾向にあります。人口が減少したことで、シャッター街化したわけではありません。人口構成比でみても、10代、20代の若者が多くいることがわかります。上のグラフが人口推移、下が年齢分布です。
実は栃木県は最もクルマ社会が進んでいるエリアの一つ。それが、郊外型アウトレットの躍進に一役買っています。
栃木県の1人当たりの自動車の台数は0.65台。これは群馬県に次いで全国で2番目。1世帯当たりの台数も1.62台で、全国で5番目に高い数字です。
宇都宮の人々は、ゴミゴミして駐車しにくい中心街よりも、郊外型の広い場所に車を止めて、ゆっくりと買い物をする文化が育っていました。パルコは中心部でブランド力を武器に勝負していましたが、とうとう時代の荒波にもまれて撤退を余儀なくされたことになります。
宇都宮パルコは、営業終了に伴う損失として22億円を計上する予定です。