日本企業がかかわる海外M&Aの相手として米国が断然トップに立つ。件数で中国が次ぐ。米国、中国は世界1位、2位の経済大国だけに順当といえるが、M&Aの中身をみると、実は好対照だ。対米M&Aは日本企業による大型買収が途切れることなく、攻めの姿勢で一貫するのに対し、対中M&Aは中国事業の整理・縮小に伴う現地子会社を中心とする売却案件でほぼ埋め尽くされる。
日本企業の海外M&Aはコロナ禍の影響による落ち込みから復調を遂げた...
国内の上場企業によるM&Aは2024年も活況を呈している。1~3月のM&A件数は合計315件(適時開示ベース)と前年を40件上回る。では、”第1コーナー“を終えた段階で、最も多くのM&Aを手がけたのはどこだったのか。
2024年1月に届け出があったTOB(株式公開買い付け)は7件と、前年同月より2件多かった。規模が最も大きいのが通信教育「進研ゼミ」などを展開するベネッセホールディングスのMBO(経営陣による買収)案件で、総額は2079億円に上る。
2023年の外食・フードサービス企業を対象にしたM&Aの取引金額は2342億円(2023年12月26日現在)で前年比約3.8倍増となった。件数も23件で前年を上回った(2022年は19件)。上位3社の取引総額が大きく、全体をけん引した。
M&Aの取引金額が夏場を境に大きく鈍化している。1~9月累計(適時開示ベース)は前年を27%上回る6兆777億円と好調。ところが、四半期別では1~3月、4~6月が各2兆6000億円に対し、直近の7~9月は約8500億円にとどまり、急ブレーキがかかった形だ。