2018年に亡くなった方の中で相続税の支払いの対象になった人の割合は8.3%だ。以前は4%台で推移していたので相続税を支払う人の割合は大きく増えたことになる。

中小企業のオーナーの大きな問題は事業承継だ。後継者がいない企業も多く、近年、M&Aを実行し、企業を売却する中小企業は増加傾向にある。M&Aを実行すると、オーナーは保有している自社株を売却することになるので、自社株の売却代金が入ってくる。

相続税の基礎控除を超える資産を保有している場合、相続税の支払いが必要となる。M&Aにより多額の現預金が入ってきたオーナーは相続税対策についても考えなければならない。

相続税対策には様々な手法があるが、今回は、生命保険を絡めた贈与による相続税対策につて解説する。

相続税対策になる「贈与」

贈与とはその名の通り、資産を他人にあげることをいう。贈与を受けた人は1年あたり110万円までは非課税になる。1人あたり110万円の贈与であれば、贈与税を支払わずに資産を他人にあげることができるのだ。

贈与の非課税枠を利用して近年、相続税対策として贈与を行う人が多くなってきている。例えば、妻と子供が2人いる人の場合、1人当たり110万円まで非課税で贈与できるので、1年で330万円のお金を家族に移転できる。相続税の対策が必要な人の資産を減らすことにより、相続が発生した時の負担を抑えられる。

1年間に移せる金額が少ないと思っている方もいるかもしれないが、長く贈与を続ければ大きな効果を得ることができる。

ここまでが一般的な贈与を活用した相続税対策になる。もちろんこの方法でも相続税対策になるが生命保険を絡めることによってさらに大きな効果を得ることができることをご存知だろうか。

「贈与」を絡めるスキームとは?

贈与に保険を絡めるスキームに利用する保険は、月払いや年払いの終身保険だ。月払いや年払いの終身保険とは多くの人が利用している一般的な終身保険のことをいう。終身保険を贈与に絡めることによって、より贈与により相続税対策の効果を高めることができる。

贈与に保険を絡めるスキームの保険の契約形態は以下のようになる。

・保険契約者=贈与を受けた人(妻や子供)
・被保険者=贈与を行った人(オーナー)
・死亡保険金受取人=贈与を受けた人(妻や子供)

上記のような契約形態で終身保険の契約をすると2つのメリットがある。1つめのメリットは、被保険者(贈与を行った人)に万が一のことがあった時に、遺族は死亡保険金をもらえること。

通常の終身保険は、保険料に対して大きな死亡保険金を受け取ることができるので死亡保険金を相続税の支払いに当てることができる。

2つめのメリットは、終身保険は一定期間保険料(通常10年程度)の支払いを行えば解約しても今まで支払った保険料以上の解約金をもらうことができる。

もし相続税に当てる必要がなくなった場合は、贈与を受けた人の将来のために利用することができるのだ。また贈与を行う人の心配事の1つに贈与したお金を無駄遣いしないかということがある。

保険にしてしまえば保険料の支払いを一定期間行わないで解約をすると大きくマイナスになってしまうので贈与を受けた人の無駄遣いを防ぐことができる。

このように贈与に保険を絡めると普通に贈与を行うよりも様々なメリットがあるのだ。相続税対策に興味のある方はこの保険に絡めた贈与のスキームを検討してみてはいかがだろうか。 

文:M&A Online編集部