働き方や稼ぎ方の多様性の一つとして、M&Aによる起業もオプション(選択肢)となっている。インターネットのプラットフォームを活用した小規模M&Aが台頭する中、個人にもM&Aに取り組むチャンスは確実に広がっている。どんな点に着目、注意すれば成功への確率が高まるのか。

「何かいい会社ありませんか」はNG

1.やりたい仕事の内容(業種など)を絞り込む

「何かいい会社ありませんか?」という希望をよく耳にするが、本当にそんな都合のいいディールがあれば、他人様にご紹介するまでもなく私が買い取る(笑)。冗談はさておき、売手としても「自分の会社を託す」先として本当にこの仕事をやりたいのか、というのは最も気になるところであり、重視する傾向がある。

2.現場に入り込む覚悟はできていますか?

小規模M&Aは、事業承継を契機としており、現経営者に代わってその会社を切り盛りしていくことが求められるケースが多い。特に近年は「人手不足」による譲渡が多く、人口の増加が見込めない日本においては今後も「プレーヤー」としての役割も求められると考えておいたほうが自然だと思われる。現場に入り込み、従業員(その家族)を守っていく覚悟が必要となる。

自分の生活圏にこだわらず、地域の将来性を見よ

3.買取可能額と希望地域を明確にする

M&Aは今ある資源を引き継ぐ(買い取る)ため、一から起業するよりは一般的には割安となる。ただし、引き継ぎ後の事業の継続という意味から考えればM&Aも新規での起業も同じである。M&Aのための資金調達を含めた事前の計画が大切になってくる。これは一概に安いから良い(悪い)、逆に高いから悪い(良い)というものではないので誤解のないように注意が必要だ。

希望地域は往々にして今の自分の生活圏の範囲内で選びがちだが、ビジネスという観点からいうと、その地域の将来的な姿についても想像したり予想してみたりすることが必要な要素となる。

「個人起業」支援機関のアドバイス活用も

4.後継者人材バンクの活用について

M&Aによる譲受は、その会社の歴史を引き継ぐことでもあります。大半の売手企業の経営者は「取引先に迷惑をかけたくない」、「従業員とその家族を守ってほしい」と思っている。個人での譲受を検討されている方は大半が過去に企業経営の経験がない。創業支援機関でのアドバイスを受けるなどして、現経営者が安心できる下地づくりをしたい。譲受後の企業価値向上は買手の経営手腕と実行力にかかっている。

中小企業庁主導により、個人での起業支援の一環として、「後継者人材バンク」という制度がある。主な目的は、(1)創業を目指す起業希望者(含むUIJターン)と後継者不在の事業主とのマッチング、(2)地域おこし協力隊員と後継者不在の事業主とのマッチング。

登録要件もあるので、譲受による起業に興味のある方は一度、中企庁のHPなどで確認してほしい。

文:Antribe社長・小林伸行(M&Aアドバイザー