昨年末に中小企業庁から公表された「第三者承継支援総合パッケージ」の中で、後継者人材バンク活用の方向性が示された。そもそも、後継者人材バンクとは何なのか? 

創業希望者と後継者不在の中小企業をマッチング

1.後継者人材バンクの目的

創業希望者(含むUIJターン希望者・地域おこし協力隊員)と後継者不在の中小企業者及び個人事業主とのマッチングを目的とする。

2. 後継者人材バンクの対象者

(1)原則、連携する創業支援機関が実施する創業塾を受講済みのもの、または、一般社団法人移住・交流推進機構(JOIN)が実施するビジネスプラン研修などを受講済みのもの。

(2)UIJターン希望者・地域おこし協力隊員で、上記創業塾やビジネスプラン研修などと同等の知識を有するもの。

「連携する創業支援機関」とは、商工会議所、商工会、民間創業支援機関などであろうと予想される。これが、全国にある事業引継ぎ支援センターの「連携創業支援機関」であればOKという意味。ポイントはその前文。「原則」と書かれてある。つまり起業・創業希望者であれば誰でも対象であると筆者は推測している。

3. 後継者人材バンクへの登録方法

全国にある事業引継ぎ支援センターが、創業希望者を後継者人材バンクに登録することで受付完了となる。つまり、創業希望地にある事業引継ぎ支援センターへ申し込みすればよいということになる。その際、原則として上記、連携する創業支援機関経由で面談申込書を提出することになっている。

新規創業よりはリスクを低く抑えられる

4. 後継者人材バンクを利用するメリット・デメリット

<メリット>
・顧客、販売先や仕入先、店舗等の経営資源が引き継げるため、新規創業時よりもリスクを低く抑えることができる。(←なかには怪しい案件もあると思うのでご注意を)。
・地域における知名度や経営ノウハウ、長い歴史により育まれてきた知識、経験など、目に見えない資産(価値)を引き継ぐことができる。
・地元紙やマスコミ関係者などが記事として取り上げてくれる確率が高く、宣伝効果が見込まれる(ただし、チヤホヤしてくれるのは最初だけなので勘違いしてはいけません)。

<デメリット>
・ゼロからの起業と比較すると、経営の自由度が低い。
・後継者として、前経営者や取引先企業と今後の経営方針のすり合わせをする必要がある。
・既存の店舗や動産を引継ぐ場合は、立地や規模、生産能力が制限される。 

とくに個人事業主の承継に有用

後継者人材バンク事業は、中小企業庁が日本全国の事業引継ぎ支援センターとタッグを組んで中小零細企業の事業承継支援の一環として、今後、力を入れて全国展開していくことが予想される。筆者の個人的な意見としては、個人事業主の承継にこの仕組みを当てはめるのが比較的馴染みやすいのではないかと思う。

特に地方での創業や起業に興味がある若い方は、オプションの1つとして後継者人材バンク制度について勉強してみてもらいたい。そして登録の是非を検討してみてほしい。

宝くじは買ってもなかなか当たらない。とはいえ、買わないと絶対に当たらない。後継者人材バンク制度についても、最初は同じ考え方でいいのではないかと思っている(深く考え過ぎて、興味はあるけど行動に移せない状態の人達を想定しています)。もしかしたら掘り出し物の案件に出合えるかもしれませんよ。

文:Antribe社長・小林伸行(M&Aアドバイザー