個人保証に依存しない融資の促進を目指して全国銀行協会などが2013年に策定したのが「経営者保証ガイドライン」。問題視されてきた「二重取り」について、その後の状況はどうなのだろうか。

金融機関によって対応に温度差

2018年6月に金融庁が公表した「『経営者保証に関するガイドライン』等の実態調査結果」によると、新規融資に占める経営者保証に依存しない融資の割合(無保証融資割合)は約16%、代表者交代時の個人保証の二重取りの割合も4割弱だった。また、ガイドラインの活用や二重取り解消に関して、金融機関によって組織的な取り組みに違いがみられると指摘した。一定成果はあるものの、まだまだ十分に進展しているとは言えない結果だ。

調査結果によると、二重取りの割合が高い金融機関は行内規定が不十分であるなど、解消に向けた具体的な取り組みが行われていない。一方、二重取りの割合が低い金融機関はトップ主導のもと、①二重取りの原則禁止や事業承継時の具体的な徴求基準の明確化、②新旧経営者双方に対する説明や保証解除に向けたアドバイスの実施、③一部金融機関は、二重徴求後も定期的なフォローを実施、などの取り組みを挙げている。 

「経営者保証二重徴求の禁止」の例外とは?

2020年4月から適用となるガイドラインの「特則」(昨年12月に策定)では、新旧経営者からの二重徴求は原則禁止と明記。例外として真に必要な場合の具体例を制限的に列挙し、安易な二重徴求が行われないような内容としている。

二重徴求が許容される例としては、以下の4つの場合を示している。

①相続手続きなどで前経営者の保証解除が予定されている中で、一時的に二重徴求となる場合

②後継者に保証を求めることがやむを得ないと判断された場合において、法人(会社)から前経営者に対する多額の貸付金等の債権が残存し、当該債権が返済されないと法人の債務返済能力を著しく毀損するなど、前経営者の保証解除が著しく公平性に欠くことを理由に、後継者が前経営者の保証解除をしないことを求めている場合

③金融支援(債務者にとって有利な条件変更を伴うもの)を実施している先、元本返済が事実上延滞している先であって、前経営者から後継者への多額な資産等の移転が行われている、または法人から前経営者と後継者双方に多額の貸付金等が存在しているなど、前経営者と後継者の双方から保証を求めなければ、金融支援を継続することが困難となる場合

④前経営者、後継者の双方から、自らの事情により保証提供の申し出があり、本特則の取扱を十分に説明したものの、申し出の意向が変わらない場合

上記が許容事例であり、詳しくは「特則」本文を見ていただきたい。

また、後継者への保証契約、前経営者との保証契約にあたっての判断基準も記されており、これに基づいて慎重な判断が求められる。

そして、経営者保証がネックで事業承継に課題を抱える中小企業を対象に、中小企業庁の委託事業として2020年度から「事業承継時の経営者保証解除に向けた専門家支援スキーム」が始まる。

スキームの主な内容は、①経営者からの相談受付や周知、②「特則」の要件を踏まえたチェックシートに基づく経営状況の確認、③前述②のチェックシートをクリアできない先の経営磨き上げ、④経営者が保証解除に向けて取引金融機関と交渉や目線合わせを行う際の専門家派遣(経営者保証コーディネーター)など。