東京五輪まであと1年を切った。その前に来月10月には消費税増税が控え、国は景気への影響を最小限に抑えるために経済対策を進めている。気が早いが、五輪後の景気の行方にも関心が高まっている。そんな中、中小企業にとってまだあまり実感を持って周知されていない別の問題があるのをご存じだろうか? 「2025年の崖」と言われる問題である。

中小企業がDXを進めなければいけない理由

経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」で警鐘を鳴らし、にわかに注目を集めている。DXとはデジタルトランスフォーメーション(digital transformation)の略。ITを活用して、人間の生活あらゆる側面に変革をもたらすという概念をいう。

レポートは2025年の崖について、こう説明する。「DXの重要性を認知しつつも、既存システムの老朽化やブラックボックス化の問題を解消できず、2025年以降、日本全体で1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある」というのだ。

簡単にいうと、「周りはIT化・技術革新がドンドンと進んでいるのに、会社にあるパソコンやソフトウエア、システムが古すぎて、対応できていない! そのせいで全然儲からない!」という悲劇予想である。

詳しくはレポートを読んでほしいが、先端技術を使いこなす人材の不足や、レガシーシステム(昔からのシステム)を熟知した人材の枯渇、既存システムの保守運用のコスト増大など、知れば知るほど恐ろしくなる諸問題が生まれてくるという。

中小企業を日々訪問する仕事をする身として、驚くほど旧式の社内IT環境に置かれた企業がまだまだ多いことを感じる。連絡手段が電話かFAXのみの小規模事業者もかなり多い。各マスコミにおいては、軽減税率での混乱の報道は多いが、2025年の崖に対する警鐘はほとんど行われておらず、大丈夫かと非常に心配になってくる。 

DX環境の整備状況が取引継続の条件になる可能性も

 情報通信総合研究所が2018年11月に実施した「国内企業ユーザにおけるDX導入状況等に関するアンケート」によると、中小企業(年商50億円未満)ではDXの導入率は約2割。中堅企業や大企業は約5割で、彼我の差は極めて大きい。

同アンケートでは、「DXを導入している企業」は「そうでない企業」に対し、売上高が伸びる確度が25%程度高まるとの推計が出ている。

これは私見だが、大企業や中堅企業の「DXが進んでいる企業」と現在取引を行っている中小企業は、今後取引継続の一つの条件として「DX環境の整備状況」が必要となっていくのではと思われる。