柴田・鈴木・中田法律事務所の柴田堅太郎弁護士は「法的側面からみた事業承継型M&Aの現状と課題」と題したリポートを発表した(日本政策金融公庫調査月報2020年2月号掲載)。 

柴田弁護士は「事業承継の手段としてのM&A(事業承継型M&A)は、小規模であるにもかかわらず、難しい問題を多く含んでいる」としたうえで、頻発する法的な問題と対応策を概説し、より円滑な事業承継型M&Aの実施に向けた課題について言及した。 

リポートでは頻発する法的な問題点を具体的な事例で紹介している。事例1では「B社は、事業承継型M&Aの対象としてT社の発行済み株式の100%を取得することを希望している。T社の株主構成は経営株主のS氏が51%、S氏の叔父U氏が10%、S氏の妻W氏が10%、S氏のいとこC氏が18%、T社の取引先M社が6%、T社の常務取締役D氏が5%である。S氏は、B社に代わって、T社株主から同社株式の買い集め交渉にとりかかろうとしている」とし、株式買い集めの必要性や株主が分散している背景、複数の株主からの買い取り方法などを説明。 

続いて事例2では「経営株主S氏の叔父で、T社の株式を8%所有するU氏は高齢で、認知症の疑いがある。なお、U氏は成年後見制度の適用を受けていない。B社はT社を100%子会社化したいと考えているが、U氏から有効に株式を取得するにはどのような方法が考えられるか」との問題に触れ対応策などを示した。 

さらに事例3では「T社は設立以来、株券発行会社である。過去に行われたT社の株式譲渡では、法律上、株式譲渡に当たって株券交付しなければならないことを当事者のいずれも知らなかったので、株券の交付を行っていなかった。B社がT社の発行済み株式を取得するうえで、どのような問題があるか」と進み、解決策を示した。 

こうした事例を7つ取り上げ、一つひとつ解説したうえで、「より良い事業承継型M&Aのための準備」としていくつかのアドバイスを行い、リポートを締めくくった。

文:M&A Online編集部