酒販大手やまや<9994>とその子会社チムニー<3178>が、居酒屋の「つぼ八」を買収すると発表しました。大株主だった日鉄住金物産<9810>から、やまやが53万8000株(53.8%)、チムニーが34万株(34%)の株式を取得する形。全国に居酒屋「はなの舞」などのブランドを展開するチムニーの店舗数は、つぼ八をあわせると1000を超えます。これは中期経営計画で掲げていた目標店舗数です。

今回の買収は、チムニーの目標達成と流通網の活用、やまやの卸先増強、日鉄住金物産の奮わない食糧事業の切り離しと、三方良しの結果が詰まった内容となっています。この記事では、チムニーとつぼ八、日鉄住金物産に焦点を当ててM&Aの狙いを解説します。

マンガとのコラボで新たな方向性を探る「はなの舞」
マンガとのコラボで新たな方向性を探る「はなの舞」


チムニーの全店売上高は前年対比で1.2%の減少

居酒屋「はなの舞」や「さかなや道場」、「豊丸水産」などを運営するチムニーの店舗は、食堂なども含めて747店舗あります(2019年3月期第1四半期決算より)。2018年3月期の売上高が467億6100万円。業績はあまり好調とはいえません。ちなみに、同社は2017年に決算月をずらしているため、2017年3月期は15ヶ月を計上しています。そのため、2014年12月期、2015年12月期、2018年3月期、2019年3月期予想で見てみます。

売上高経常利益
2019年3月期予想461億円(1.4%減)27億円(14.7%減)
2018年3月期467億6100万円(-)31億6500万円(-)
2015年12月期477億8600万円(2.6%増)37億200万円(6.3%増)
2014年12月期465億6400万円(5.7%増)34億8200万円(7.4%増)

チムニーは2018年10月に下方修正を発表しています。もともとは2%の増収を見込んでいましたが、一転して減収となりました。理由は豪雨、台風、地震などの自然災害で客離れを招いたこと。しかしながら、業績は2017年ごろからジリジリ下がっています。同社はすでに客単価の減少による、売上高の低迷にあえいでいました。下の表は前年同期比の直営既存店・全店の比較です。

▼2018年直営既存店・全店の前年同期との比較

売上高客数客単価
直営既存店96.6%99.1%97.5%
直営全店98.8%102%96.9%

出店効果により客数が増えているものの、客単価が下がっていることがポイントです。チムニーは客単価を上げられるポテンシャルは持っているのです。それを上手く消費者に届けられず、価格に転嫁できないという深い悩みを抱えています。それが規模の拡大へと動く最大の理由と考えられます。

どういうことでしょうか。