モスフードサービス<8153>は、通期の売上予想を当初の720億円から660億円へと修正しました。さらに営業利益予想を、38億円から4億円へと89.5%減の大幅修正しています。売上高の下方修正はキャンペーンによる集客が予想以上に伸びなかったこと。そして、減益予想は8月に発生した食中毒の影響により、FC店への営業補償が発生したためです。

ダブルパンチとはこのこと。この記事は、モスバーガーを襲った食中毒ショックが業績にどれほどの影響を与えたのか。そして、同社が復活するために必要なものは何かを探ります。

モスバーガー
「安心・安全」がセールスポイントだっただけに食中毒のショックは大きい


28名に腸管出血性大腸菌O121の症状

まずは今回の食中毒の経緯から。8月10日から23日までの間に、関東・甲信越のモスバーガー19店舗を利用した客28名から腸管出血性大腸菌「O121」が検出されました。厚労省の発表によると、下痢、腹痛、発熱等の症状が出ているとのこと。

痛手だったのは、モスバーガーが「安心・安全」をうたっていた点です。契約農家には安全性の一定基準を設け、安全性を確保するなどの取り組みを行っていました。マクドナルドの食品偽装問題などが表面化し、顧客は安全性を求めるようになりました。それがモスバーガーの他社との差別化へと繋がったのです。それだけに、今回の食中毒のインパクトは大きいものでした。

今回の件で、一番大きな余波を広げたのはフランチャイズ加盟店への補償です。同社は最終損益を従来予想の25億円から、一転して8億円の赤字見通しとしたのです。

売上高経常利益最終益
2019年3月期(修正後)660億円(7.5%減)5億円(87.2%減)△8億円
2018年3月期713億8700万円(0.6%増)39億1300億円(20.0%減)24億7000万円(19.0%減)
2017年3月期709億2900万円(0.3%減)48億9200万円(22.0%増)30億5000万円(33.5%増)
2016年3月期711億1300万円(7.2%増)40億1100万円(163.4%増)22億8400万円(239.9%増)

連結財務指標より

20億~30億円の最終益をコンスタントに出していましたが、赤字に転落しています。今回の業績に与えたインパクトの大きさがわかります。

さて、今回の食中毒にとらわれずに同社の業績推移を見ると、気になる点が1つあります。売上が2017年から横ばいで推移していることです。これこそ、モスバーガーの本当の苦境を物語っているのです。

※なお、2016年3月期に大幅な増収増益になっているのは、価格改定により値上げが実行されたことによるものです。この詳細は後述します。