2018年6月に居酒屋業界で一足先に禁煙化を進めた串カツ田中<3547>。90%以上の店舗で禁煙・分煙を実施し、半年で売上高を2.4%伸ばすことに成功しました。ただし、客数が5.8%増加したものの、客単価は3.2%減少しています。顧客構成が変わり、アルコールを飲まない層が増えたことで、客単価が下がりました。

東京都受動喫煙防止条例が施行され、従業員を雇っている飲食店は禁煙・分煙化が求められます。禁煙は商売にどう影響するでしょうか?

串カツ田中新メニュー
うどんなどの串カツ以外のメニューを充実させている


2020年4月1日から飲食店の全席禁煙・分煙化

串カツ田中は国内195店舗の92.3%に相当する180店舗を全席禁煙化。12店舗をフロア分煙としました。喫煙ができるのは、立ち飲み業態の3店舗のみです。業界では客離れが心配されていましたが、半年経過して売上増と結果は上々です。

既存店の推移はこのようになりました。数値は昨対比です。2018年6月の実施から、半年後の11月までです。参考として2017年の推移も入っています。

※「既存店」とは、オープンしてから18カ月が経過した店舗です。

2018年6月7月8月9月10月11月平均
売上高97.1%101.9%109.7%95.3%111.6%99.0%102.4%
客数102.2%104.1%112.1%99.6%116.0%100.8%105.8%
客単価95.0%97.9%97.9%95.7%96.2%98.3596.8%
2017年6月7月8月9月10月11月平均
売上高101.4%101.7%102.8%108.1%94.7%114.7%103.9%
客数102.4%103.8%104.6%111.6%95.1%117.3%105.8%
客単価99.0%98.0%98.2%96.8%99.5%97.7%98.2%

月次報告より筆者作成

これを見ると、2017年も昨対比で客数を伸ばしていましたが、禁煙化によって更に客数を積み上げていることがわかります。しかしながら、売上全体の伸び率では1.5%ほど2018年の方が低くなっています。これは、顧客構成ががらりと変わり、客単価の低い顧客層が増加したためと考えられます。

串カツ田中は、禁煙化によって客層がこのように変化しました。

増加した客層家族
+6%
~20代男女グループ
+1%
女性・カップル
+1%
減少した客層会社員・男性グループ
-6%
30代~男女グループ
-1%
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禁煙化実施のお知らせ

主力ターゲットの男性会社員は6%減少したものの、家族連れや若い団体客が増加したのです。ここには一つ落とし穴があります。それは、アルコールを飲まない層が多いために、客単価が落ちたことです。

月次推移の表を見ると、2018年の客単価は3.2%減少しています。

串カツ田中100円キャンペーン
2018年末に打ち出した全品100円キャンペーン


客単価は2017年も1.8%減少しています。これは、キャンペーンの打ち出し(例えば全品終日100円企画など)により、客単価を下げて集客したためと考えられます。これは飲食店の常套手段です。今後、串カツ田中は禁煙化によって客単価が落ちた顧客向けに、更なる値下げキャンペーンを打ち出す可能性があります。そうなると、客単価減少に歯止めが利かなくなるかもしれません。

串カツ田中は、アルコール以外での客単価向上ノウハウが薄いと考えられます。今後の大きな課題となりそうです。