レストラン「GARB」やカフェ「GOOD MORNING」を運営するバルニバービ<3418>が、2017年9月に京都の名門旅館「菊水」を買収しました。1955年に開業した老舗旅館で、近代日本庭園の先駆者・小川治兵衛が手掛けた庭園を有しています。同社は菊水の大規模な改修費用や人員の投入により、先行投資が膨らんでいます。2018年7月期の経常利益は前期比31.8%減の4億2500万円。当初の計画7億2000万円から41%減少するという厳しい結果に。7,000円で買収した老舗旅館「菊水」は鬼門となるのでしょうか。

菊水客室
客室は15室から5室へ


客室数を半減し、客室単価を1万8千円から3万3千円に引き上げ

菊水は京都市東山の南禅寺近くにある料理旅館です。呉服商である寺村助右衛門の別荘として建てられました。小川治兵衛が作庭した「池泉回遊式庭園」が、敷地の約830坪の半分以上を占めています。ここ数年は赤字が続いており、売却先を探していました。バルニバービは再建リスクが高いことを理由に買収を断念するものの、最終的には引き受けることとなりました。

15室の客室を5室に減らし、広々としたスペースを確保。それにより、客室単価を18,000円から33,000円へと引き上げました。料理の監修にミシュラン三ツ星の料亭「日本料理 柏屋」を入れ、提供するサービスの質向上を図っています。

また、ウエディングの獲得も本格化。宿泊、レストラン、ウエディングの3軸で施設の稼働率を上げる計画を立てています。特に料亭での結婚式は、プランドゥシーの「河文」といった成功例があり、希望の持てる分野です。また、京都は外国人観光客が増加していることから、インバウンド集客にも期待できます。投資総額は4億円とも言われ、同社の強い意気込みを感じます。

しかしながら、菊水の改修は思うように進みませんでした。リニューアルオープンは2018年3月を見込んでいましたが、工事が思うように進まずに3か月後ろ倒しになりました。開業準備に必要な人件費、新規事業への先行投資も利益を圧迫しています。

菊水バンケット
結婚式の需要も獲得


2桁増収の成長スピードに翳り

業績の推移はこのようになっています。

売上高経常利益
2019年7月期(予想)119億円(6.4%増)4億6000万円(8.1%増)
2018年7月期111億8500万円(13.8%増)4億2500万円(31.8%減)
2017年7月期98億2400万円(16.0%増)6億2300万円(5.9%増)
2016年7月期84億6800万円(27.5%増)5億8900万円(22.5%増)

有価証券報告書より

バルニバービ業績推移
バルニバービ業績推移

「菊水」買収前の2017年7月期を機に、業績が縮小傾向にあります。2桁増の売上高も、今期は6.4%増と小幅な伸びに留まる様子。同社は出店ペースもやや鈍っています。

バルニバービ店舗数推移
バルニバービ店舗数推移

2018年7月期は4店舗、2019年7月期は5店舗です。やはり、2017年7月期を境に出店スピードが落ちていることがわかります。

落ち込みの背景として、人事面での苦戦がありそう。菊水は15人いた従業員のうち、3分の1が退職しました。スタッフを入れ替え、現在は13人が働いています。ウエディング事業の立ち上げもあり、人材獲得と育成に力を入れ、これまでのような出店ができなくなったと考えられます。会社全体で踏ん張っている姿が浮かんできます。

菊水が業績に貢献するカギはウエディングにありそう。仮に1組単価370万円の結婚式が年間70組とれたとすると、売上はおよそ2億6000万円となります。利益率が6%だとすると、利益は1500万円以上。33,000円の客室5室が70%で稼働したとしても、売上は1700万円ほど。利益は100万円程度です。

人材育成のどこに力を入れ、菊水をどのように稼働させるかが、同社の未来を左右しそうです。