レストラン「ひらまつ」がパチンコ・マルハングループの影響下に

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創業者との対立が鮮明に

ひらまつはホテル事業の不振により、コロナ前の2019年8月にアドバンテッジアドバイザーズと業務提携契約を締結していました。このとき、親会社の投資ファンド・アドバンテッジパートナーズから出資を受ける契約でした。アドバンテッジパートナーズは2000年にひらまつに出資をして上場へと導いた過去があり、盟友とも言える関係でした。2019年8月の出資と同時にアドバンテッジアドバイザーズの取締役・古川徳厚氏を社外役員として送り込みます。

雲行きが怪しくなったのは、2020年10月のひらまつ創業者・平松博利氏が起こした訴訟。ひらまつの経営の一線から退いていた平松氏は、自身が代表を務める経営コンサルティング会社ひらまつ総研が受け取るべき業務委託報酬など12億円以上の支払いをひらまつに求めました。

それを受け、ひらまつは外部調査委員会を設けてひらまつと平松博利氏、ひらまつ総研との関係を検証します。それによると、赤字だった京都のレストラン2店舗の譲渡代金やスキームにおいて、経営陣と平松氏の利害関係を巡る対立が鮮明になっていたなどとされていました。※ひらまつと平松氏の対立の詳細はこちら

この騒動は2021年3月に終結し、和解が成立します。ひらまつは和解金として1億7,000万円をひらまつ総研に支払い、売却した京都のレストランをひらまつに返還するという内容でした。

その和解からわずか4カ月で、アドバンテッジアドバイザーズとの提携は解消されました。アドバンテッジによる事業の立て直しは道半ばとなり、創業者との騒動に巻き込まれる不本意な結果となりました。

ひらまつはマルハングループから調達した資金のうち、23億円をアドバンテッジの早期償還に充当しています。ひらまつの経営陣、既存株主、マルハングループのいずれかがアドバンテッジとの提携の早期解消を望んでいたものと考えられます。今回のマルハングループとの資本提携は、経営方針が大きく変わる意味合いが強いです。

資金調達で「ホテル」から「カフェ」へ方向転換

ひらまつはマルハングループから調達する資金のうち、17億円をフラッグシップモデル及びエントリーモデルの新規出店費用に充てるとしています。フラッグシップモデルは従来型の高級レストランで、晴れの日需要をメインに獲得するものです。

エントリーモデルは、幅広い年齢層をターゲットとし、ひらまつを知るきっかけとなるカフェスタイルのモデル店舗。1店舗当たりの開業費用は1億円で、10店舗を展開する計画です。

ひらまつは国立新美術館のカフェ「コキーユ」や「カレ」を運営していましたが、1億円前後の出店費用をかけたカフェとなると独立型の店舗だと予想でき、そのような店舗展開は初の試みとなります。

ひらまつはホテル事業の見直し、創業者の訴訟と和解、大規模増資、経営パートナーの変更を経て、新局面を迎えました。次のかじ取りに注目が集まっています。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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