愛知県を中心に居酒屋「昭和食堂」を運営する海帆<3133>が、11月ジャパンルネッサンス投資事業組合(港区)を割当先とした新株予約権を発行します。

発行される潜在株式数は750万株。192.9%もの希薄化を伴う大規模なものとなります。行使価額は80円。増資の決定をする直前の株価455円に対して、82.4%もディスカウントしての発行となりました。調達する金額は6億3,000万円です。この資金は、人件費・地代家賃に2億1,500万円、借入金の返済に4億円を充当する予定です。

海帆はこれほどの希薄化とディスカウントを伴う増資で資金を調達しますが、出退店や業態転換費用ではなく、返済や運転資金ですべてが消えてしまうという何とも苦しい状態に追い込まれています。それに加えて、債務超過に転落しており、一刻の猶予も許されません。

この記事では以下の情報を得ることができます。

・海帆の第三者割当増資の内容
・業績と経営状態

新型コロナウイルス感染拡大前から経営は悪化の一途

名古屋エリアを中心に居酒屋を展開(画像はイメージ Photo by PAKUTASO)

海帆は2003年に名古屋で設立されました。「昭和食堂」を主力とし、「えびすや」「ゆずの雫」などの居酒屋を中心に店舗展開しています。2015年4月にマザーズ市場に上場。最近ではM&Aに積極的な姿勢を見せており、2019年6月「立ち喰い焼肉 治郎丸」、2019年12月に「海鮮個室居酒屋 葵屋」を買収しました。

買収の背景には既存店舗の業績の落ち込みがありました。緊急事態宣言前から売上が減少し、赤字が継続している状態です。2020年3月期に3億1,400万円の債務超過となりました。2022年3月末までに解消できない場合、上場廃止となります。M&Aによって起死回生を狙いましたが、奇しくも新型コロナウイルスの感染拡大で急ブレーキがかかった格好です。

■海帆業績推移(単位:百万円)

2018年3月期2019年3月期2020年3月期
売上高5,8404,9203,977
経常利益△9△261△470
純利益△137△510△695
純資産額714190△314

有価証券報告書より筆者作成

海帆の直営店は減少し続けています。2017年3月期に目標としていた100店舗を超えて、直営店は109店舗となりました。そこから減少に転じます。2019年3月期には91店舗、2020年3月期には直営店は87店舗(治郎丸の買収によってFC店は5店舗追加)となりました。

そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けます。2021年3月期第1四半期の売上高は前期比83.7%減の1億7,400万円。経常損失は3億1,800万円、純損失は3億2,700万円となりました。債務超過額は3月末の3億1,400万円から6億4,200万円まで膨らみます。

海帆は2020年5月に「昭和食堂」など3店舗、6月に沖縄国際通りの「治郎丸」を退店しました。6月末時点での店舗数は直営店が76、FC店が12となっています。焼肉ブームによってフランチャイズ加盟店は増加しているものの、主力の直営店は3月末の91店舗から76店舗まで急減しているのです。