シリーズ事業承継の活用手法として、中小企業の事業承継や 財産の分散防止に効果的な信託などを解説しています。金融機関での信託の組成ではなく “自己信託"自己プランになりますので、金融機関に多額の費用を払わず実行できるものになります。(金融機関の提案に比べ1/4~1/3くらいの費用感ですね)
第1回「資産(建物)を法人に移転する際の信託受益権の組成」
第2回「共有不動案の分散防止に有効な財産処分信託」
第3回「議決行使信託で後継者の会社運営を円滑に!」
に続き、第4回「種類株式を活用した段階的かつ円滑な事業承継!」になります。
事業承継をしたいが株式の保有比率が少ない!しかし、株の保有比率をあげるには株価が高すぎて買い取る金額もない・・・。といったことが考えられます。
その場合には「株式自体を増やすのではなく、議決権を増やす方法を考える」ことが重要です。株式を「財産としての株式」「支配権としての株式」という考え方で分けてとらえ「支配権」の確保をまず考えます。もちろん両方を確保できればそれが一番いいのですが・・・。
[事業承継におけるポイント]
・株式の異動の際に「財産権」としての株式と、「支配権」としての株式を どうとらえるのか?
・「財産権」の確保としてとらえた場合には、株式保有数が重要であるため、株式の取得が大前提となります。
・「支配権」としてとらえた場合には、議決権の確保が重要となります。
大きく分けると下記のような方法及び組み合わせが考えられます。
・種類株式の発行
・属人株式の発行
・無議決権株式への転換
・投資育成会社(公的機関)の導入
・従業員持ち株会の導入
・協業先への第三者割当増資
今回のテーマである種類株式は、「役員の解任権」「拒否権」「株式の譲渡承認」など、会社の重要事項に対する「権利」や「拒否権」を持つものです。トランプで言うとジョーカーみたいなイメージでしょうか?どんなにいいカードをそろえていても最後の最後にジョーカー出されると勝てない!みたいな感じですね・・・なので種類株式のうち、かなりの権利が含まれるものを「黄金株」と言ったりします。
種類株式発行後は下記の事項については、株主総会での同意に加え、種類株主総会での同意も必要となります。 (内容は当社と司法書士先生とでオーダーメイドで設計します)
・1.重要な財産の処分及び譲受け
・2.多額の借財
・3.定款の変更
・4.資本金の増加及び資本金の減少
・5.株式の譲渡に関する承認
・6.解散
・7.事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡、他の会社の事業の全部の譲受け、事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約
・8.組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転
・9.代表取締役の選任及び解任
・10.子会社に関する事項の決定
先ほどトランプで言うとジョーカーみたいなイメージといいました。どんなにいいカードをそろえていても最後の最後にジョーカー出されると勝てない!みたいな感じです。
しかし7並べを考えてみてください。最後の最後まで持っていると使う場所にならず邪魔な存在になってしまいます。「強大な権利であるがゆえに、使い方を間違うと自分を傷つけることになりかねない」のです。
例えば種類株(黄金株)を1株、創業者が持っていたとしましょう。その株式が相続によって後継者以外の兄弟にわたる、もしくは創業者が騙されてほかの親族に取られてしまうといった場合には大きな経営危機になります。