【法律とM&A】数次相続における裁判例のご紹介
相続について何度かご紹介しておりますが、今回は数次相続の結果、最終相続人が1人となった場合の相続登記について、東京地裁における、平成26年3月13日の判決例をご紹介いたします。
父親である社長が、後継者である息子に会社を引き継ぐべく、息子に第三者割当増資をする場面があります。
例えば
●時価発行で増資をした例
【増資前】
A社長 100% 100株 会社純資産 40億円 社長の持ち分 40億円
の状態のときに、時価発行を行う
B息子 25株 払込額 10億円
といったケース。
これだと、
増資後の会社純資産は40億円+10億円=50億円
増資後の持ち分割合
A社長 80% 100株 社長の持ち分 40億円(50億円×80%)
B息子 20% 25株 息子の持ち分 10億円(50億円×20%)
となり、税務上(贈与税)は問題ありません。
A社長持ち分 増資前 40億円 → 増資後 40億円
B息子持ち分 増資前 - → 払込 10億円 → 増資後10億円
A社長の持ち分は変わらず、B息子も財産価値の変動がないからです。
もしも、
●低額発行で増資をした例
【増資前】
C社長 100% 100株 会社純資産 40億円 社長の持ち分 40億円
の状態のときに、低額発行をした場合、
D息子 99,900株 払込額 10億円
といったケースだとどうなるでしょう。
この場合、
増資後の会社純資産は40億円+10億円=50億円
増資後
C社長 0.1% 100株 社長の持ち分 約0億円(50億円×0.1%)
D息子 99.9% 99,900株 息子の持ち分 約50億円(50億円×99.9%)
結果的にD息子は10億円の払込をしただけなのに、増資後の持ち分は50億円に増えてしまいました。
C社長持ち分 増資前 40億円 → 増資後 約0億円
D息子持ち分 増資前 - → 払込 10億円 → 増資後約50億円
C社長の持ち分が40億円ごっそりD息子に移ったのが実態です。
経済的利益の移転となり、会社法上はC社長が反対しない限り、この増資は可能です。
しかし、会社法上がOKであろうがなかろうが、贈与税の世界では課税対象となる可能性があります。
相続について何度かご紹介しておりますが、今回は数次相続の結果、最終相続人が1人となった場合の相続登記について、東京地裁における、平成26年3月13日の判決例をご紹介いたします。
相続とは、お亡くなりになった方の権利義務の一切を、ある一定の親族が承継することです。この一定の親族の範囲は、民法という法律で定められています。どう違うのか今一度見てみよう。