成年後見人の基本的な職務と法改正の影響

本年度、成年後見制度に関する法律「成年後見制度の利用の促進に関する法律」及び「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が相次いで施行されました。

「成年後見制度の利用の促進に関する法律」は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理や日常生活等に支障がある人たちを社会全体で支え合う目的で定められた成年後見制度が、十分に利用されていない現状に対し定められた法律です。

基本理念を定め、国の責務を明らかにし、基本方針その他の基本事項を定めるとともに、成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進委員会を設置すること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することが目的とされています。

今後、この法律に基づいた成年後見制度の利用を推進するため、さらに具体的な施策があることが予想されます。

また、「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」により、成年後見人の職務権限が拡大されました。

成年後見人の基本的な職務は次のようなものです。

《1、財産管理》
預貯金(通帳・カード)・保険・有価証券(株式等)の管理、
不動産などの重要な財産管理処分(売買や賃貸借、空き家になった自宅の管理等)、
その他の財産(郵便物・身分証明書など各種証明書・自動車の管理)、
相続手続(遺産分割協議への参加)、
年金などの収入や医療費等の支出の管理

《2、身上監護》
医療・介護・住宅の確保・施設の入退リハビリなどに関する契約の締結、
要介護・要支援認定の申請、
見守り行為等、本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活の状況などにも配慮する、
本人の生活や健康・療養等に関する支援

この度の法改正により、さらに次のような権限が加えられました。

◇成年被後見人宛の郵便物を成年後見人に転送すること(成年後見人の請求による家庭裁判の審判が必要)
郵便物の紛失、期限付き郵便物の返送が期限内にできない、
全ての郵便物を把握しきれない等郵便物に関する問題が解決されました。

◇成年被後見人が死亡した場合の手続き(家庭裁判の許可が必要)
個々の相続財産の保存に必要な行為
相続財産に属する弁済期が到来している債務の弁済
火葬や埋葬に関する契約の締結及びその他相続財産の保存に必要な行為

これらの改正により、これまでできなかった業務が可能になり、より成年後見制度が利用しやすくなりました。
ただし、適用されるのは、現在のところ成年後見人のみとなっています。

文:司法書士法人・行政書士法人 星野合同事務所
Vol.115 2016.12.28 メールマガジンより転載