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法律・マネー

事業承継の相談事例(1)認知症の相続人

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※画像はイメージです

丸の内アドバイザーズの岩松です。

 先日、相続人のなかに認知症の人がいるのだけれど、どうしたらいいかという相談を受けました。

 そのおうちではまだ相続が発生しているわけではないのですが、相続税の申告などで、相続人に認知症の方がいるケースはかなり多くなってきております。

 相続人に認知症の人がいると遺産分割ができなくなると言われたのだけれども・・・と相談されたこともありますが、さすがにそうではありません。程度にもよりますが、相続人としての意思判断や、書類に署名をしたりといった手続きに支障を来す場合には、成年後見人をつけて、成年後見人にその人の代りとなってもらって手続きを進めることになります。

 成年後見人の手続きは家庭裁判所で行う事になりますが、遺産分割の場合においては、たとえばご本人の子供などの身内でも、遺産を分ける上では利害の対立がある、ということになりますので、同じ相続人同士の関係にある人は成年後見人として認めてもらえません。多くの場合は、弁護士や司法書士などが裁判所から選任されて成年後見人に就任しております。そうすると、ほかの相続人はこの成年後見人を交えて遺産分割協議を行い、相続の手続きを進めていくことになります。

 しかし、上記の手続きは、ケースバイケースでもありますが、かなり時間がかかるようです。以前九州の方のご相談であった例では、裁判所に依頼して成年後見人が決まるまで、半年以上の日数がかかりました。そして、成年後見人に就任した弁護士さんとの協議を行うのも、その弁護士さんとなかなかスケジュールが合わなかったりして思うように進まず、結局ご相続が発生してから1年半以上も遺産分割協議が進まないまま、結局認知症のご本人が先に亡くなってしまう、という事態になりました。

 その間、遺産分割が未確定のために、証券口座は凍結されたままで、相続財産の投資信託や外債などは相場が下落して評価額が4割以上下がっても指を加えて見ているだけになってしましました。不動産の相続登記ももちろんできません。

 相続税の申告も、申告期限に遺産分割が確定していませんでしたので、配偶者控除も小規模宅地の特例も使えません。

 この場合は認知症のご本人が途中で亡くなりましたので、遺産分割も相続手続きも未了のまま成年後見人は退任ということになるのですが、それでもある程度の手数料は支払わなければいけません。結果的に、相続人の方達は時間の面でもコストの面でもかなりの負担となってしまいました。

 このような事態を回避するのには、相続が発生する前に、早い時期にあらかじめ遺言書を公正証書で作成し、遺言執行人を指名しておくことをお勧めします。そうであれば、相続が発生した場合、遺言執行人が遺言に従って相続の手続きを進めることができますので、相続人の方達は相続手続きの事務負担が格段に減少します。特にご高齢の方の場合、配偶者が亡くなったのをきっかけに残された方にも認知症が出るといった例もございますので、事前に用意をしておくのが安心です。

文:「士業(サムライ)日記 専門家集団・丸の内アドバイザーズのブログ」より転載

岩松 琢也 (いわまつ・たくや)

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丸の内アドバイザーズグループ 公認会計士・税理士
岩松 琢也(いわまつたくや) 

略歴:
1970年 千葉県生まれ
1993年 一橋大学商学部卒業
1992年 公認会計士2次試験に合格後、監査法人トーマツに入所し、公開支援業務、法定監査などの経験を積む。
1994年より、石津・野口会計事務所および千葉第一監査法人にて、法人・個人の税務に携わるとともに、上場会社、学校法人、公益法人などの監査業務に関与。特に地域に密着した中小規模の会社に関する業務の経験を積む。
2001年 M&A仲介会社である株式会社ストライクの設立に参画し、主として中小・中堅企業のM&A仲介業務にあたるとともに、公認会計士として企業価値算定、デューデリジェンス業務なども担当し、豊富な実務経験と実績を積む。

(リンク先:http://www.m-adv.co.jp/ ) 


相続・事業承継

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