ご家族がお亡くなりになると、相続の諸手続が必要となりますが、亡くなった方が遺言を残しているなど特別の事情がないかぎり、原則相続人の全員が相続手続に関与する必要があります。

 例えば、亡くなった方名義の預貯金がある場合、払戻し・名義変更を行なう場合は、所定の書類に相続人の方全員のご署名及びご実印での押印をして、金融機関に払戻し等の請求をする必要がございます。

 しかし、相続人の中に行方不明の方がいらっしゃると、相続の手続をすすめることができません。手続ができないまま時間が経過してしまい、更に相続人の方が亡くなってしまった場合は相続手続に関与すべき当事者が増え、手続がより複雑になってしまいます。また、預貯金等の払戻しを受ける権利も時効で消滅してしまい、預貯金等の払戻しができなくなってしまう恐れもあります。

 このような場合はどうすればよいでしょうか。

 様々な方法がございますが、手続きの一つとして”不在者財産管理人制度”を利用することが考えられます。民法には、財産を有している者が所在不明となってしまった場合に、その財産を管理するための制度として不在者財産管理制度を設けています。

○民法(不在者の財産の管理)
第25条
従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)が
その財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)
を置かなかったときは、家庭裁判所は利害関係人又は検察官の請求により、
その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

 利害関係人(相続の場合は不在者以外の相続人)から家庭裁判所に対し、不在者財産管理人の選任申立を行い、不在者財産管理人が選任されると選任された不在者財産管理人と共に相続手続を行なうことができます。

 上記の預貯金等の払戻しについては、相続人のほか、不在者財産管理人が裁判所の選任決定書を添付の上、所定の書類に署名・実印での押印をし、預金の払戻しの請求をすることができます。また、相続財産を相続人間でどの様に分けるかを話し合う遺産分割協議についても、不在者のかわりに不在者財産管理人を選任することで、協議を行なうことが可能です。