昨年、中小企業庁は、中小企業のM&A活用促進を目的とした「事業引継ぎガイドライン」を策定、「事業引継ぎハンドブック」にまとめた。また、これまで一部の地域で展開していた「事業引き継ぎ支援センター」を全都道府県に展開、M&Aを活用した中小企業の事業承継を後押しする体制を敷いた。国が事業承継に力を入れる理由はどこにあるのだろうか。また、どこまでサポートしてくれるのだろうか。東京都事業引継ぎ支援センターのプロジェクトマネージャー木内雅雄氏に伺った。

――事業引継ぎ支援センターの具体的なサポートの仕組みを教えてください。

 事業引継ぎ支援センターの特徴は、親族内に後継者がいない経営者の事業承継を支援対象としている点と、相談のみならず会社や事業の譲渡プロセスの支援まで手掛ける点です。代表的な相談は次の二つです。

 一つ目が「自分の会社を第三者に譲渡することが可能なのか」という相談です。可能性があるとなれば事業承継の選択肢にM&Aによる第三者への譲渡が加わるわけです。そして、「実際に譲渡するとしたら相手をどのように探せばいいのか」「交渉や契約の流れはどのようになるのか」「譲渡価額はどの程度になるのか」といった具体的な相談に発展していきます。

 二つ目が、すでに譲渡候補の相手がいるケースです。たとえば、知人の経営者から「後継者がいないなら、うちで買い取ってもいい」と言われたような場合です。「どんな手順で進めれば良いか」「相手が提示してきた条件は妥当なのか」といったことを教えてほしいといった相談が典型です。

「会社を第三者に譲渡したい」と意思が固まった経営者に対する譲渡プロセスの支援についても、やはり二つの方法があります。一つは、民間のM&A支援会社の紹介です。提携しているM&A支援会社は複数ありますが、いずれの会社も買い手を探すことから相手方との交渉、契約書作成の支援、資金決済の支援までのフルサポート・サービスを提供しています。

 しかし、フルサポートを受けるためには、通常1000万円以上の手数料が必要です。一定規模以上の会社でなければ支払いが困難な実情もあります。ところで、センターには機会があれば、会社(事業)買収を検討したいという会社も多数来訪します。そこで、民間のM&A支援会社に紹介するのが難しい会社に対しては、センターに相談に来た会社の中に適当な譲受候補企業があれば両社の引き合わせも行っています。

 但し、センターで直接支援出来るのは引き合わせまでですので、この後の両社間の交渉に当たっては、相談者の意向に応じて、M&Aに強い弁護士や会計士などの紹介もしています。(次回に続く

取材・文:M&A Online編集部

第1回:「事業引継ぎ支援センター設立の背景」を読む