世界に誇るべき日本の経営文化

ー京セラ創業者の稲盛和夫氏らをはじめ国内外で多くの経営者に接する中で、日本の経営文化を高く評価されていますね。

欧米の「経営者」が職業という人たちと異なり、日本の経営者の圧倒的多数は30年、40年と長年一つの会社で働き、上からも下からも外からも評価されて選ばれている。インテリジェンス(知性)、人柄、胆力、頭脳、ユーモアのセンス…。日本の経営者は欧米に比してまったく引けを取っていない。

しかも、とくに大企業の経営者はある時点から自社のことより、天下国家、社会全体のことに自然と思いを持つ場合が少なくない。こんなメンタリティーで経営しているのは日本だけで、世界に誇るべき経営文化を持っている。欧米の経営者はCSR(企業の社会的責任)を口にするが、日本にはあまり輸入する必要がない概念といえる。

同じアジアでも中国、韓国は経営文化という観点で日本のそれとはまったく相容れない。ビジネスライクという面で欧米に近い経営文化を持つが、残念ながら「真顔でうそをつく」という一点において欧米とも日本とも相容れない。その意味で彼らの経営文化は世界で尊敬されるものにはなり得ないと思う。

ー今後、そういった日本の経営文化をどう輸出したらいいですか。

日本企業の正直さや従業員を大切にする精神は世界の尊敬を集める大切なカルチャーで、欧米にも学ばせる価値のある優れたものだと常々感じてきた。ロングタームで時間をかけて理解されるよう努めるべきだが、その手前でつまずくことも少なくない。

例えば、海外企業を買収して、現地の従業員にレイオフしないから安心して一生懸命働いてもらいたいと話しても理解はすぐに得られない。そんなことは給料を上げてから言ってよ、といった話になる。ある種のサラリーマン根性の違いがあり、こうした振る舞いを分かり合ったうえで日本的経営を根付かせていけばいいと思う。他方、中国や韓国は欧米型なので、米国企業が中国企業を買収してもそんなに苦労しないようだ。