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【永谷園HD】M&Aで世界に挑む「味ひとすじ」の老舗

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「和食ブーム」で海外に活路

 それまでの永谷園の海外事業は、米国でのテイクアウトの寿司事業や中国での製麺事業といったもので、海外売上高は10億円にも達しない。永谷園が主力とするお茶づけ海苔やみそ汁などが海外で受け入れられにくいとの判断もあり、海外事業への投資には消極的だった。しかし、世界的な和食ブームや健康志向も追い風となり、2013年12月には「和食」がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産に登録された。和食文化を支えてきた永谷園にとっても、海外市場に大きなビジネスチャンスが出てきたといえる。

お茶づけ
永谷園が海外展開に躊躇していた「お茶づけ」も世界に通用するか?(Photo By Muyo)

 2015年10月に持ち株会社制へ移行して永谷園HDを設立したのも、海外企業のM&Aを迅速に実行し、グローバル展開を加速するためだ。事実、翌年の2016年2月には傘下にアジア風の麺商品を製造・販売する米JSL FOODS社を持つ米MAIN ON FOODS社へ50%出資し、持分法適用関連会社にした。

 2016年7月には香港系の投資会社と中国江蘇省南通市に半生タイプの袋入り麺やスープなどの生産・販売を手がける合弁会社「永谷園食品(江蘇)」を設立すると発表した。資本金は8億円で永谷園HDが60%を出資する。永谷園HDは2011年から上海で同様の麺事業を手がけていたが、当時の売上高は数億円だった。これを10億円に引き上げるのが目的だったという。中国で「食に対する安全」意識が高まったことから日系の食品メーカーに注目が集まっており、今後の需要の増加が見込めると判断した。

 そして2016年12月に永谷園HDが英ブルームコ社を約150億円で買収。ブルームコの傘下には世界有数のフリーズドライ食品会社チョウサー・フーズ・グループがあり、永谷園HDは長年にわたって培ってきたフリーズドライ加工技術を武器に海外展開を急ぐ。ブルームコの買収資金約150億円のうち40%は官民ファンドの産業革新機構が出資する、いわば和食のグローバル展開を官民一体で推進する「国策M&A」だ。永谷園にとっては世界市場を視野に入れた「大勝負」といえる。この「大勝負」に賭けるため、2017年1月には前年7月に発表した永谷園食品(江蘇)の設立を中止し、欧州事業に集中することになった。

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先日、永谷園ホールディングスがフリーズドライ食品会社を傘下に持つ英・ブルームコを約150億円で買収すると報じられた。官民ファンドの産業革新機構と共同とはいえ、永谷園にとってはシュークリーム専門店「ビアードパパ」で知られる麦の穂ホールディングス買収以来の大型買収だ。永谷園が描いた海外展開の青写真とは?