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【永谷園HD】M&Aで世界に挑む「味ひとすじ」の老舗

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創業者亡きあとに本格化した永谷園のM&A

 嘉男亡きあとの永谷園の経営戦略が大きく変わるのは2013年、創業60周年に当たる年だ。戦略の目玉は研究開発からM&Aに変わる。もちろん、それ以前からM&Aには取り組んでいた。2008年に藤原製麺(北海道旭川市)の株式51%を取得して連結子会社化し、同社子会社のふじの華と共に傘下に収めた。

 藤原製麺は「旭川生ラーメン」をはじめ、そばやうどんなどの生麺や乾麺を生産する地元食品メーカー。1993年に永谷園の「煮込みラーメンシリーズ」の製造協力企業となってから関係が深まっていた。藤原製麺は永谷園が扱う乾燥麺のほか、自社ブランド商品も生産する。2010年に自社ブランドで発売したインスタントラーメンの「円山動物園白クマラーメン」が、1か月間で約100万食を販売する大ヒットになった。

 藤原製麺までのM&Aは、国内で販売する商品ラインナップの拡充を狙った「生産力増加」のためのM&Aだった。しかし、それ以降のM&Aは明らかに方向性が異なる。ターゲットは海外市場であり、現在の主戦場である日本以外で「新たなマーケットを開拓する」ための買収なのだ。

 2013年10月に永谷園は、麦の穂ホールディングスを買収した。同社はシュークリーム専門店の「ビアードパパの作りたて工房」などのスイーツ事業や「古式讃岐うどん〜温や〜」などのレストラン事業を手がけている。しかし、永谷園の狙いはこうした洋菓子や外食といった国内新分野への参入ではなかった。

 実は同社は「ビアードパパ」ブランドで中国や韓国、台湾といったアジアのほか、米国やカナダなどへ積極的に展開してきたグローバル企業の顔も持つ。買収時点での海外店舗数は約200店。これらの海外拠点は、これまで国内市場に注力してきた永谷園にとって大きな魅力であったのは間違いない。買収金額は100億円近く、永谷園創業以来の大型買収となった。

ビアード・パパの作りたて工房
永谷園が買収した「ビアード・パパの作りたて工房」 Photo By MASA (talk)

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先日、永谷園ホールディングスがフリーズドライ食品会社を傘下に持つ英・ブルームコを約150億円で買収すると報じられた。官民ファンドの産業革新機構と共同とはいえ、永谷園にとってはシュークリーム専門店「ビアードパパ」で知られる麦の穂ホールディングス買収以来の大型買収だ。永谷園が描いた海外展開の青写真とは?