花・植物の鮮度保持剤で世界トップを傘下に

OATアグリオが傘下に収めるクリザールはオランダのアムステルダムに本拠を置き、従業員数は231人(6月末)。直近業績は売上高64億円、営業利益5億1000万円。資産から花や植物を収穫後(ポストハーベスト)に切り花や切り枝を日持ちさせる鮮度保持剤の分野で、「世界の圧倒的なナンバーワン企業」(OATアグリオ)とされる。

クリザールは花・植物の主産地であるコロンビア、ケニア、オランダはもとより、需要地の欧州、米国、アジアなど約50カ国に自社製品を展開している。OATアグリオはクリザールの世界的なブランド力、生産者から消費者までの強固なサプライチェーン網、有能な人材などに着目した。

OATアグリオの本社が入るビル(都内)

クリザールの親会社である投資ファンドと少数個人株主が保有する全株式を12月中旬に取得し、完全子会社とする。買収金額は78億円。これに対し、OATアグリオの2018年12月期決算は売上高8.3%増の152億円、営業利益1.7%増の19億円を見込む。買収金額は年間売上の半分を上回るスケールで、文字通り、社運をかけたM&Aといえる。

OATアグリオは施肥潅水技術の製品群の一つとして、鮮度保持剤「美咲」を国内販売している。子会社化後はクリザールのサプライチェーンを活用し、「美咲」を世界展開する。

もちろん、狙いはこれにとどまらない。最大のターゲットとするのは、巨大な収穫前(プレハーベスト)市場だ。サプライチェーンの上流に位置する生産者に対し、OATアグリオの稼ぎ頭である農薬製品を直接投入する道が開ける。

スペイン社も買収、着々と布石づくり

クリザール買収に先立ち、7月にスペインの農業資材関連2社(バレンシア)を子会社化した。 LIDA Plant Research(売上高9億円)とCAPA ECOSYSTEMS(同1億9000万円)で、両社は天然の防除資材、肥料、バイオスティミュラント(植物成長調整剤)の開発、製造を手がける。これらのLIDA製品もクリザールの販路を活用して拡販につなげる考えだ。

LIDA、CAPAは経営者が同じでいずれも全株式を保有。OATアグリオは4分の3の株式を取得して傘下に収めた(取得価格は非公表)。

実は、LIDAなど2社の子会社化はOATアグリオにとって初の海外M&A案件。本命ともいえるクリザール買収に向けて用意周到にM&Aを進めてきたことがうかがえる。