市場が納得するユニゾHDの適正株価はいくらか

類似会社と比較してみよう

ユニゾHDの10/11の市場株価は、終値4700円、時価総額1608億3700万円となっています。この株価水準がどの程度適正なのかをまず検討してみたいと思います。

まず、類似会社の株価指標との比較をしてみましょう。

図表1 類似会社との株価比較

PER(株価収益率)は割安とみられるものの、EV/EBITDA倍率(簡易買収倍率)、PBR(株価純資産倍率)は割高となっています。これは、他社に比べて会社予想EPS(1株あたり純利益)の実現可能性が「市場において信頼されていない状況」であると考えられます。

保有不動産の含み益に着目すると

他方、対象会社は事業の大宗が不動産投資事業であることから、貸借対照表に表れない保有不動産の含み益に着目する投資判断の対象とすることが一般的でもあります。

保有不動産の含み益については、外部から推計することは困難ですが、ユニゾHDの中期経営計画説明資料の中で、2019/3/31現在の含み益が2224億円と公表されています。

当該情報は監査を経ていないので信頼性はそれほど高いものではないと考えられるものの、他にそれ以上の信頼性のある予測値も見受けられないため、これに準拠すると、法人実効税率30.9%(対象会社の有価証券報告書における税効果注記に記載された税率を使用)で含み益の税引後の純額は1536億7800万円となります。

これを2019/6/30現在の簿価純資産1090億6200万円に加算すると、実態純資産相当額は2627億4000万円となります。

図表2 不動案含み益に着目した実態純資産価値

10/11現在の時価総額1608億3700万円は上記実態純資産2627億4000万円に対しPBR約0.6倍の水準ですから、不動産含み益に着目すれば市場株価はまだまだ「割安である」と評価できるでしょう。仮に、実態純資産が適正時価総額であるとすれば、一株当たり7678円となります。

他方で、これらの含み益は不動産を売却して現金化して初めて確定されるものであり、不動産として保有されている限りは価値変動リスクにさらされています。足元の不動産市況に天井感が強いことなどからすると、このリスクをある程度勘案することが必要と考えられます。

非流動性ディスカウントを考慮した適正株価は「5374円」

一般的にはこのようなリスクは非流動性ディスカウントとして考慮され、厳密な算定式については投資家ごとにまちまちであるものの、平均的には30%程度で算定されることが多いです。上記の実態純資産に対して30%の非流動性ディスカウントを考慮した場合、適正株価は5374円となります。

この水準は、足元の株価に対してプレミアム14.4%の水準ですので、バイアウトとしては少々物足りないかもしれませんが、不動産含み益の縮小リスクを加味すれば一般投資家に対しても十分魅力的な水準であり、かつ買い手にとっても一定の投資妙味が残る水準ではないかと考えられます。

であるとすれば、今の株価4700円で今から買っても妙味のある投資ではないでしょうか。

※本記事に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも執筆者個人 の意見として申し述べたものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するもの ではありません。

文:巽 震二(フリーランス・マーケットアナリスト)