CDS急騰、株価急落に苦しむ日産

クレジットイベント(経営破綻)が起こらなければ債権自体は移動せず、CDSは「保険」の役割を果たす。グローバルなCDS市場があり、そこで国内外の銀行や証券会社が特定企業のCDSを値付けし、ブローカーを介して取引をしている。

当然、デフォルトの可能性が高い企業ほど、「保険」であるCDSの「買い手」が「売り手」に支払うプレミアム料率(保証料率)は高くなる。すなわち日産のCDS保証料率が急騰しているのは、CDSの値付けをしている金融機関が「日産の経営リスクが急激に高まった」と判断しているためだ。

日産は経営統合をめぐって親会社である仏ルノーとの関係がギクシャクしている上に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大を受けて販売・生産ともに大幅に落ち込んでいる。これが同社のCDS保証料率が急騰した理由だ。同社の株価も2020年1月6日の626円から同4月3日には316円と、半値近くまで暴落した。

CDS保証料率の上昇は、金融市場が日産にリスク低減を求めるメッセージともいえる。2019年12月に就任したばかりの内田誠日産社長は、CDS保証料率の急騰や株価の急落という金融市場から突きつけられた「経営リスク懸念」の払しょくという難題も抱えることになった。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的拡大)の先行きが見通せないだけに、一筋縄では行かない問題だ。

ただ、CDS保証料率が急騰しているのは日産だけではない。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の先行き不透明感が一気に深刻化した同2月下旬から主要CDS指数は急伸し、信用リスクが企業・業種を問わず上昇している。

「安全資産」といわれてきた日本国債ですら、同3月に入ってCDS保証料率が急騰した。事業規模総額108兆円に上る緊急経済対策で予定通り39兆円の財政支出が実施されれば、日本の財政赤字は膨らみ、日本国債のCDS保証料率はさらに高騰する可能性がある。

「新型コロナウイルス恐慌」が本当にやって来るのか?来るのならいつかを探るためにも、CDS保証料率の動きを注視したい。

文:M&A Online編集部