デフレの王様・鳥貴族<3193>が値上げによる客離れに苦しんでいます。2017年10月から280円均一の価格設定を298円に引き上げたというもの。わずか18円の値上げですが、顧客の反応は素直なものでした。既存店の売上高は値上げ後の10月から、忘年会シーズンの11月、12月を除いたすべての月が昨対割れとなったのです。同社は7月6日に下方修正を発表。2018年7月期の経常利益を従来予想の22.8億円から14.3億円へと37%引き下げました。安売りという武器が両刃の剣であることをよく示しています。外食企業の多くは”安売り”という競争力で差別化を図ろうとしていました。しかし店舗の”オマージュ”が横行する今の時代は、業態を深化させてその価値を消費者に伝えることが重要なようです。という話です。

鳥貴族
9月13日からキャンペーンを打ち出した「鳥貴族」


値上げにより既存店売上高は昨対比で4%超の落ち込み

鳥貴族の値上げがどのようなインパクトを与えているのか。月次売上高の推移を見るのが早いです。上が2018年7月期、下が2017年7月期のものです。注目ポイントは2行目の既存店売上高と3行目の客数。

鳥貴族:2018年7月期月次報告
鳥貴族:2018年7月期月次報告
鳥貴族:2017年7月期月次報告
鳥貴族:2017年7月期月次報告


鳥貴族が280円から298円に値上げしたのは2017年10月です。上の表の10月の客数が見事に昨対割れを起こしているのがわかります。その月の売上高はおよそ4%減。忘年会シーズンの11月12月の売上高は何とか昨年を上回っています。しかし、1月に入ってからは売上高・客数ともに6か月連続の昨対割れを起こします。通期で見ると客数が5.7%減、売上が3.7%減ですが、値上げ後の10月から7月までで見ると、客数が7.1%減、売上が4.4%減となってしまうのです。

前期の客数、既存店売上高を見てみましょう。昨対割れしているのは11月、6月、7月のみ。通期で見ると、既存店売上高と客数は、前年を上回って着地しているのです。すなわち、値上げで客離れを引き起こしたことが明白。当然、4行目の客単価は値上げ効果で上がるわけですが、客離れをカバーすることはできなかったというわけです。

では、業績を見てみましょう。表の真ん中は2017年7月期に鳥貴族が出した2018年7月期の予想です。

売上高経常利益純利益
2018年7月期(実際)339億7800万円(15.8%増)16億1300万円(13.1%増)6億6200万円(31.6%減)
2018年7月期(会社予想)369億3900万円(25.9%増)22億8100万円(59.9%増)13億3900万円(38.4%増)
2017年7月期293億3600万円(19.7%増)14億2600万円(7.8%減)9億6700万円(1.4%減)

鳥貴族:決算報告

鳥貴族は当初、値上げが既存店売上高の増収に結びつくと予想していました。しかしながら、ふたを開けてみると見事なまでの減収となったのです。結局、売上高は当初の計画からおよそ30億円引き下げることに。8%の下方修正です。既存店の売り上げ減は利益も圧迫しました。経常利益は計画比でおよそ6億円以上ものマイナスとなったのです。投資家の失望をかったのは、収益性の低下が見られた店舗の固定資産の減損処理。5億円超の特別損失を計上したのです。