他社の当たり業態をアーティスティックに”オマージュ”することで知られるモンテローザ。今年に入って「いきなりステーキ」をオマージュした「カミナリステーキ」を世に送り出すなど、その手法はまさに匠の技。周囲の批判など気にすることなくその路線を突き進み、5年ほど前に居酒屋業態で初の2,000店舗出店を達成しました。店舗を拡大して人々の空腹を満たし、雇用を創出するためなら手段を厭わない。資本主義社会における、正しい外食企業の在り方を見せつけている企業の一つといえます。

さて、そんなモンテローザですが、2017年3月期の決算で120億円の純損失を計上してしまいます。メディアからは「パクリ業態の終焉」「当然の報い」「一から出直せ」など批判の嵐が巻き起こりました。しかしながら、2018年3月期は39億7300万円の純利益を計上したのです。しかも、売上高が前期比12.6%増の1171億7000万円としっかり。周囲の「やれやれ、これだからマネばかりしている企業は……」という人々の思いとは裏腹に、モンテローザは戦略的撤退を行って業績回復を図っていたのでした、という話です。

刀剣乱舞
テレビアニメ「刀剣乱舞」とのコラボも


300店舗退店のどん底から売上・利益の両方を回復

まずはモンテローザの見事な業績回復状況から見てみます。

売上高純利益(損失)
2018年3月期1171億7000万円39億7300万円
2017年3月期1039億7300万円△120億9700万円
2016年3月期1424億8400万円△8億3300万円
2015年3月期1454億8700万円△16億4700万円
2014年3月期1461億7400万円5300万円
2013年3月期1462億8200万円23億2000万円

※モンテローザの決算公告を元に筆者作成

業界初の2,000店舗出店の偉業を成し遂げた2013年に23億2000万円の純利益を計上しているものの、売上・利益ともに下降線をたどっているのがわかります。そして2017年3月期に、2013年3月期比で売上高が29%減にまで落ち込んだのです。実はこれが、戦略的退店の始まりでした。

2016年末まで2,100店舗を展開していたものの、2017年に入ってわずか3か月ほどで150店舗を閉店。現在の1735まで段階的に縮小しました。この計画的な閉店が奏功して業績回復に成功したというわけです。

モンテローザは2016年中にテコ入れ策の意思決定を行い、2017年3月期内で可能な限り損失を吸収しました。3期連続の赤字を計上していましたが、2016年3月期の時点で利益剰余金が178億9500万円もあったのです。その分を2017年3月期で大幅に取り崩し、倒産が噂される水準の4期連続赤字を振り切って黒転させたと考えられます。

貸借対照表はこのようになっていました。

流動資産固定資産流動負債固定負債純資産
2018年3月期215億300万円554億9800万円346億500万円264億1400万円159億8200万円
2017年3月期147億1300万円632億3600万円390億1300万円277億8200万円111億5400万円
2016年3月期153億1100万円781億8000万円428億2500万円273億9500万円232億7000万円

固定資産に注目してください。2016年3月期から2017年3月期にかけて、149億4400万円も減少しています。2017年に入って3か月150店舗のスピード退店により、固定資産を圧縮。損失を利益剰余金で吸収しました。あわせて家賃などがなくなり、流動負債を段階的にカットしているのがわかります。