公開日付:2022.12.01
2023年の干支は“卯(う)”。全国で卯年に設立された法人は20万9,206社で、全国の法人約340万社の6.1%に過ぎず、十二支では最も少ない。
卯年設立の法人のうち、最も古い設立年は1903(明治36)年で、更生保護法人新潟県保護会(新潟)や盛岡信用金庫(岩手)など24社しかない。
卯年設立の法人の産業別では、サービス業他が6万6,466社(構成比31.7%)で最も多かった。
都道府県別では、最多は東京都の4万9,294社(同23.5%)で、最少は鳥取県の723社。都道府県別の法人数に対する卯年設立の法人数は、最高が秋田県の7.07%だった。
設立年は、2011年が7万8,502社(同37.5%)と4割近くを占め、月別では年度始めの4月が2万3,254社(同11.1%)で最多だった。
上場企業3,983社のうち、卯年設立は325社(同8.1%)で十二支では6番目に多い。ただ、卯年設立の企業に対する上場企業率は0.15%で、丑年と辰年、亥年の0.12%を上回り一番高い。
2022年はコロナ禍が長引くが、経済活動は本格的に再開した一年だった。だが、物価高や円安など経済環境が目まぐるしく変化し、企業環境は先行きが見えない状況が続いた。2023年の卯年は、動き出したコロナ禍の出口戦略が実を結び、成長への一歩を踏み出す年が期待される。
※本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから個人企業、倒産や休廃業・解散した企業などを除外した約340万社を対象に、卯年に設立された法人を抽出し、分析した。
※設立年月は、商業登記簿に基づく。
卯年に設立された上場企業は325社で、全上場企業3,983社のうち、十二支では6番目に多い。
市場別の最多は、東証プライムの144社(構成比44.3%)。次いで、東証スタンダード121社、東証グロース38社と続く。
最古の上場企業は、1903(明治36)年が品川リフラクトリーズ(東京)の1社のみ。1915(大正4)年はデンカ(東京)、島根銀行(島根)など6社。1927(昭和2)年は、京都ホテル(京都)、資生堂(東京)など8社と少ない。
しかし、1939(昭和14)年になるとグローバルダイニング、アステラス製薬、小津産業など39社に増加。戦後の1951(昭和26)年は、東北、中部、北陸、中国、関西、四国、九州の各電力会社、東京電力ホールディングスなど77社と大幅に増えた。1963(昭和38)年は、ファーストリテイリング、リクルートホールディングス、アスクルなど31社。
最も若い卯年の上場企業は、2011(平成23)年の設立で39社だった。このうち、純粋持株会社が10社を占め、ソフトウェア業やインターネット関連業種など時代を反映した業種が多い。
卯年の設立年では、最多は2011(平成23)年の7万8,502社(構成比37.5%)。次いで、1999(平成11)年の4万3,364社(同20.7%)で、平成設立が12万1,866社と全体と約6割(58.2%)を占めた。100年超となる1915年以前の設立法人は85社で、構成比はわずか0.04%に過ぎない。
産業別の最多は、サービス業他の6万6,466社(構成比31.7%)だった。サービス業のうち、2011年設立は3万3,073社とほぼ半数(構成比49.7%)を占めた。以下、建設業3万1,665社(同15.1%)、小売業2万3,888社(同11.4%)、製造業2万3,388社(同11.1%)、卸売業2万709社(同9.8%)、不動産業2万360社(同9.7%)、情報通信業1万453社(同4.9%)と続き、10産業のうち、7産業が1万社以上だった。
一方、最も少なかったのは農・林・漁・鉱業の2,726社(同1.3%)。
業種別では、食堂,レストランが5,960社(同2.8%)で最多。次いで、経営コンサルタント業が5,409社(同2.5%)で、この2業種が5,000社以上だった。
前回、卯年の2011(平成23)年は3月に東日本大震災が発生し、社会的にも経済的にも大きな混乱を引き起こした。2022年は世界的パンデミックとなったコロナ禍も3年目に入り、経済活動は停滞から再開への道を歩み始めた。
2023年は『癸卯(みずのとう)』と呼ばれる。“癸”は、次の新たな生命が成長し始める状態を意味し、卯年は何かを始めるのに縁起が良く、景気回復などよい年になることが期待される。
コロナ禍の影響を引きずるなかで起きた円安、物価高、人手不足を乗り切り、新たな一歩を踏み出せるか、これまでになく期待が高まる新年を迎えようとしている。