塩野義 新型コロナの飲み薬で「発症予防試験」を実施

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写真はイメージです

塩野義製薬<4507>は、2022年12月から供給を始める国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」を用いて、新型コロナ感染症患者の同居家族を対象とした発症予防試験を実施する。

現在、試験開始に向けて準備中だが、予防薬としての効果が認められれば、新型コロナワクチンを接種できない人や、接種を拒んでいる人らに朗報となるほか、患者と同居する家族の不安を低減させる効果も見込める。ゾコーバとはどのような薬なのか。

症状が快復するまでの時間が24時間短かく

ゾコーバは、塩野義と北海道大学の共同研究で生まれた薬剤で、新型コロナウイルスが増殖する際に必要な 3CLプロテアーゼという酵素を阻害することで、ウイルスの増殖を抑え、症状を和らげる。

臨床試験の結果、発症から72時間未満の患者に一日一回5日間、経口投与したところ、倦怠感、熱、鼻水、のど、咳の5症状が快復するまでの時間が、プラセボ(偽薬)に比べ約24時間短縮したという。

現在、日本などのアジア諸国で、無症候や軽度症状のある新型コロナ感染者を対象にした第2/3相試験を実施中で、世界規模では入院を伴わない新型コロナ感染者を対象とした第3相臨床試験(SCORPIO-HR 試験7)を推進中。さらに入院を伴う新型コロナ感染者を対象とした第3相臨床試験(STRIVE 試験8)も近く始める予定。

塩野義では、これに加えて発症予防試験に取り組むための準備を進めているもので、実施時期や期間などのめどは立っていないよう。ゾコーバの12月からの供給については、1年の期限付きの緊急承認のため、日本や世界で実施している、またこれから実施する臨床試験の結果を踏まえて、通常承認の申請を行うことになる。

三つ目の新型コロナの軽症、中等症向け治療薬

ゾコーバは軽症か、中等症の患者が対象で、胎児への影響が懸念されるため妊婦には使用できず、高血圧の治療薬など36種の薬とは併用できないなどの制限がある。日本政府は、塩野義から100万人分を購入する方針だ。

新型コロナの軽症、中等症の治療薬としては、米国の大手製薬会社メルクの日本法人であるMSD(東京都千代田区)の「ラゲブリオ」と、米国の大手製薬会社ファイザーの「パキロビッド」があり、ゾコーバは日本で三つ目の新型コロナの軽症、中等症向け治療薬となる。

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文:M&A Online編集部

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