【酒販大手比較】やまやが黒字でカクヤスが赤字なのはなぜか?

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酒のやまや道玄坂上店

酒販大手やまや<9994>とカクヤスグループ<7686>の明暗が分かれました。

やまやの2023年4-6月の営業利益は前期比87.7%増の4億800万円。大幅な増益での着地。一方、カクヤスは同期間に1億8,600万円の営業損失(前年同期間は13億700万円の営業損失)を計上しています。

やまやは2023年3月期の売上高を前期比3.2%増の1,480億円、営業利益を前期の3.1倍となる20億円と予想しており、営業利益率は1.4%となる見込みです。カクヤスの予想は、売上高が同41.2%増の1,207億4,100万円、営業利益が同8億2,700万円。営業利益率は0.7%。赤字すれすれで利益を出す計画です。

なぜ、2社にこれほどの違いが生じているのでしょうか?この記事では以下の情報が得られます。

・やまやとカクヤスの業績
・2社の違い

M&Aで業務用酒類販売を強化するカクヤスの行方

やまやは1952年に誕生したやまや商店が前身。1970年11月に株式会社やまやを設立。1994年にイオン<8267>と資本業務提携契約を締結。2022年3月末時点でイオンは19.1%の株式を保有しています。やまやはイオンの持分法適用会社です。

カクヤスは1921年創業のカクヤス酒店が原点で、ディスカウントを武器に消費者の支持を得ました。佐藤順一氏が三代目社長に就任すると、配達サービスを無料、飲食店向け配達を年中無休にするなど、価格競争を脱して宅配サービスの強化へと舵を切りました。サービス力の強化で差別化を図ったことが、急成長するきっかけとなります。

カクヤスは2020年4月に業務用酒類販売会社サンノー(福岡県福岡市)を買収。7月にKYマネジメント(東京都北区)を吸収合併するなど、M&Aや再編を進めます。その年の10月にカクヤスからカクヤスグループへと商号変更しました。

2020年12月に業務用酒類販売のダンガミ(福岡県福岡市)、2021年2月に乳製品の宅配事業を行う明和物産(東京都中央区)を買収しています。

やまやは酒類販売店の最大手。新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する前の2020年3月期の売上高が1,681億円で、カクヤスは1,085億円。やまやの売上高はカクヤスを1.5倍上回っていました。

※決算短信より筆者作成

2021年3月期はやまやの売上高が1.9倍、2022年3月期は1.7倍上回っています。コロナ禍をきっかけとして、その差がやや広がりました。

本業で稼ぐ力を表す営業利益においては、コロナ前からやまやがカクヤスを大きく上回っています。2018年3月期~2020年3月期までのやまやの営業利益率の平均は3.7%、カクヤスは1.2%でした。同じ酒販業ですが、やまやが2.5ポイント上回っています。

※決算短信より筆者作成

2社の明暗を分けた主要因が、飲食店向けの業務用酒販が占める割合。カクヤスは2020年3月期の業務用酒販の売上高が768億7,100万円。売上構成比率は70.8%です。

その一方で、やまやの飲食店向けのアルコールを販売する連結子会社やまや商流(宮城県仙台市)の2020年3月期の売上高は、586億100万円。売上高全体に占める割合は34.8%。

飲食店向けのアルコールは扱う数量が多い反面、卸価格で販売するために利益率が低い傾向があります。カクヤスはセグメントごとの利益は出していませんが、やまや商流が利益を出していた2019年3月期の営業利益率はわずか0.4%。インバウンドや宴会需要が旺盛だった時期でさえ利益を出すのがやっとの状態でした。

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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やまやの2021年3月期・第3四半期の純損失が72億9300万円となりました。2013年に子会社化したチムニーののれん64億円を減損損失を計上したためです。買収した居酒屋事業ののれんの減損は、今後他の企業にも広がる可能性があります。