2023年に創業100周年を迎える企業は・・・

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2023年の“全国の周年企業” 100周年は2,649社、100年超は4万2,966社

公開日付:2022.12.02

 2023年に創業100周年(1923年創業)を迎える企業は、全国で2,649社あることがわかった。農林中央金庫や富士電機、富国生命保険、高砂熱学工業などの大手から、菓子卸の髙山、プラントエンジニアリングの東芝プラントシステム、住宅資材のジューテック、化学メーカーのオー・ジー、自動車用変速機部品では世界最大手のエクセディ、カレーなど食品加工のヱスビー食品など、各業界の実力企業が顔を揃える。

 創業された1923年は、第一次世界大戦後の不況のなかで9月1日、関東大震災が発生した。その後も世界大恐慌、第二次世界大戦と、未曽有の厳しい時代を生き抜いた逞しい企業群だ。
 さらに200周年(1823年創業)は、酸化鉄トップメーカーの戸田工業(広島県)、酒類製造の木内酒造1823(茨城県)、地酒「天狗舞」醸造元の車多酒造、扇子製造の宮脇賣扇庵(京都府)、鯖の缶詰など水産加工品を扱う田村長(福井県)など9社。300周年(1723年創業)は、「ふとんとギフトのカネチ」で知られる筑前屋(香川県)の1社。400周年(1623年創業)は、日本酒「久寿玉」などの平瀬酒造店(岐阜県)の1社が、それぞれ確認された。
 一方、戦後生まれの創業50周年(1973年創業)は、コンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパン(東京都)、ドラッグストアのコスモス薬品(福岡県)、半導体設計開発のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県)、派遣業のパーソルテンプスタッフ(東京都)、コーペラティブチェーン「CGCグループ」のシジシージャパン(東京都)、賃貸住宅大手のレオパレス21(東京都)など、全国で2万8,476社ある。

※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース(約330万社)から、2023年に創業(創立)100周年などの「周年」を迎える企業(個人企業・各種法人を含む)を抽出し、分析した。50周年以外は、100周年単位でまとめた

周年企業 100周年は2,649社、400周年は平瀬酒造店の1社

 2023年に周年(50周年および100年単位)を迎える企業は、全国で3万1,136社ある。50周年が2万8,476社(構成比91.4%)、100周年は2,649社(同8.5%)だった。その次の100周年は一気に数が減り、200周年が9社、300周年が1社、400周年も1社で、200周年以上はわずか11社しかない。
 最も古い周年企業は、江戸初期の1623(元和9)年の創業。飛騨髙山で地酒「久寿玉」などを造り続ける老舗酒蔵の平瀬酒造店(岐阜県)で、創業400周年を迎える。次いで、300周年はふとん販売やレンタルなど県内最大級の寝具専門店の筑前屋(香川県)。創業は1723(亨保8)年で江戸幕府8代将軍、徳川吉宗の時代だ。
 200周年は1823(文政6)年創業。酸化鉄最大手で東証プライムの戸田工業(広島)など9社ある。
 50周年はコンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパン(東京都)やドラッグストアのコスモス薬品(福岡県)など2万8,476社。

主な100周年企業
©東京商工リサーチ

創業100年超の老舗企業 2023年は全国で4万2,966社

 2023年の業歴100年超の老舗企業は、創業100周年を迎える2,694社を含めて4万2,966社を数える。宗教法人などを除くと最古は、578年創業の社寺建築を手がける金剛組(大阪府)で、現存する企業では世界最古とも言われる。
 次いで、華道「池坊」の一般財団法人池坊華道会(京都府)が587年に創業、世界最古の宿とギネス認定された西山温泉慶雲館(山梨県)は705年の開湯、老舗の温泉旅館の古まん(兵庫県)は717年に創業、旅館の善吾楼(石川県)は718年に創業で、業歴1,000年を超える企業は7社を数える。

周年企業数
©東京商工リサーチ

歴史的な大災害や戦争、不況などの苦難を乗り越え、初めて100周年など周年を迎えられる。
 2023年が50周年の企業数は2万8,476社あるが、100周年はわずか2,649社にとどまる。長い間、事業継続するには屋台骨を支える事業と時流に即した柔軟な経営判断が両輪となる。
 ここにきて後継者不在による「後継者難」倒産が増えている。代表者の死亡や体調悪化が主な要因の倒産は、2022年は初めて年間400件を超える可能性も出てきた。全国17万2,176社を対象にした2022年の「後継者不在率」は59.9%で、前年(58.6%)を1.3ポイント上回った。業歴が長いほど何代もの事業承継が行われる。そういう意味でも周年企業は、後継者の育成だけではなく、非同族への移行も含め用意周到な事業承継を実現してきた企業群でもある。
 また、時代の変化に伴う主力事業のハンドリングも必要だ。積極投資か事業縮小か、あるいは業態変更か。市場の変化に応じた柔軟な経営判断も必要だが、経営のバランスが優れた企業が“周年企業”の名を戴くことができる。
 2023年も新型コロナの影響は避けられない状況が続く。この苦境を糧に、新たな発想と経営課題を見直す弾力性を備えた企業が、次の“周年企業”として生き残るだろう。

東京商工リサーチ「データを読む」より抜粋

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