2010年代には国内外の金融機関との業務提携(資本提携も一部含む)が活発化した。
海外はアジアが主軸。主な業務提携先をみると、カシコン銀行(タイ)、りそなプルダニア銀行(インドネシア)、ANZベトナム(ベトナム)、新韓銀行(韓国。日本法人のSBJ銀行含む)、CIMBニアガ(インドネシア)、バンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(フィリピン)、上海銀行(中国)、中國信託ホールディング(台湾)、インドステイト銀行(インド)、ベトナム投資開発銀行(ベトナム)など。
一方の国内ではネット証券のマネックスグループ、金融系ウェブサービス提供のマネーフォワード、直接投資信託のコモンズ投信、来店型保険代理店のほけんの窓口グループ、不動産のリノベーション事業を展開するリノベる、三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下のフィンテック企業Japan Digital Designなど。金融以外では、静岡県中部で食品などを扱う地域商社のふじのくに物産(静岡市)とも業務提携した。
伊豆、駿河、遠江(遠州)の3つの国からなり、3者3様の県民性がある静岡県。俗に、食べ物がなくなったら、伊豆は餓死し、駿河は物乞いし、遠州は泥棒する。これは「伊豆餓死、駿河乞食、遠州泥棒」ともいわれている。この俗諺には「働いて食べ物を得る」という発想は表現されていないが、これは気候が温暖な豊かな県の表れでもあるだろう。
全体としては、あくせくせず、穏やかなマイペースで、ポジティブな県民性。また、東京と愛知・大阪に挟まれていることもあり、エンタープライズ性を持った企業も多い。こうした屈託のない開かれた気質が業務提携の素地に生かされているようである。
その静岡県・静岡銀行にとって“難攻不落”の地がある。北の隣県だ。北に赤石山系が峙ち、急峻な富士川の上流にある山梨県とは、これまで交流が極めてむずかしかった。海洋県として海外には積極的であっても、山河の向こうとは疎遠だった。
静岡銀行は2014年1月に地銀8行(千葉銀行、北海道銀行、七十七銀行、八十二銀行、京都銀行、広島銀行、伊予銀行、福岡銀行)と「地域再生・活性化ネットワーク」を構築している。だが、山梨県を代表する地銀の山梨中央銀行と包括業務提携を結んだのは、実は1年前の2020年10月のことだった。
文:M&A Online編集部
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