注射の痛みのない「飲み薬」で治す新型コロナ「塩野義」が臨床試験を開始

alt
写真はイメージです

塩野義製薬<4507>が新型コロナウイルス感染症の新たな治療薬の国内第1相臨床試験を始めた。飲み薬タイプの抗ウイルス薬で、2021年7月22日に初回投与を行っており、投与後の安全性上の懸念は確認されていないという。

新型コロナワクチンの接種が進んでいるが、接種後も感染や発症のリスクがあるため、治療薬は不可欠。飲み薬だと、注射の痛みなどがなく、だれでも簡単に服用できる。今後、変異株に有効なワクチンの開発と並んで、新たな治療薬の開発にも関心が集まりそうだ。

だれでも安全で簡単に服用

新型コロナウイルスは 「3CL プロテアーゼ」というウイルスの増殖に必要な酵素を持っている。塩野義が開発したのは、この酵素を阻害することでウイルスの増殖を抑える「3CL プロテアーゼ阻害薬」で、動物実験ではウイルス量を速やかに、有意に低下させることができた。

今回の臨床試験では健康成人を対象に、服用時の体内動態、安全性、忍容性(耐えうる副作用の程度)の確認を行う。

現在、接種が進んでいるファイザーとモデルナのワクチンは、いずれも予防効果は95%ほどのため、ワクチンを接種しても100人中5人ほどは感染する計算になる。

また、感染力などが変化していく変異株には、ワクチンが効きにくくなることが考えられるうえ、変異株に有効なワクチンの開発や供給には時間がかかる。

このためワクチンに加えて、インフルエンザと同じように、体内のウイルス量を低下させ、重症化の抑制や症状の改善などにつながる治療薬が今後重要になってくる。

塩野義によると、新型コロナウイルスは感染初期に症状がなくても、また軽症であっても、あとで急速に症状が悪化するケースがあるため、だれでも安全で簡単に使用できる治療薬を必要としている。

関連記事はこちら
「注射」不要の新型コロナワクチン 塩野義が開発に着手
新型コロナに効く「抗体カクテル療法」ってなに?

治療薬、承認は3種、申請、試験中は2種

現在、新型コロナウイルスの治療薬としては、レムデシビル(DNAやRNAを構成するヌクレオチドの類似体)、デキサメタゾン(ステロイド系の抗炎症薬)、バリシチニブ(関節リウマチ治療薬)の3種が承認されている。

さらに中外製薬<4519>が、抗体カクテル療法に用いる「カシリビマブ」と「イムデビマブ」の2種の抗体を、新型コロナウイルス感染症治療薬として製造販売する承認の申請を行っているほか、富士フイルム富山化学(東京都中央区)も、インフルエンザ治療薬としての承認を得ている「アビガン」の、第3相臨床試験を行っている。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

「注射」不要の新型コロナワクチン 塩野義が開発に着手

「注射」不要の新型コロナワクチン 塩野義が開発に着手

2021/07/24

塩野義製薬はHanaVaxと共同で、注射をしなくても新型コロナウイルスワクチンを鼻から接種できる経鼻ワクチンの開発に乗り出した。注射の痛みから解放してくれるワクチンとはどのようなものなのか。