「注射」不要の新型コロナワクチン 塩野義が開発に着手

alt
写真はイメージです

塩野義製薬<4507>は東京大学発の創薬ベンチャーのHanaVax(東京都中央区)と共同で、注射をしなくても新型コロナウイルスワクチンを接種できる経鼻ワクチンの開発に乗り出した。

HanaVaxが持つ「カチオン化ナノゲルデリバリーシステム」を用いるもので、感染経路となる鼻やのどなどの呼吸器粘膜をはじめ、全身に対して効果的に免疫を誘導することができるという。

接種の際に医師や看護師らの注射技術を持つ人材が必要ないため、簡単にワクチン接種ができるほか、医療環境が整っていない新興国でも使いやすいというメリットがある。

新型コロナウイルスはインフルエンザと同じように、今後は毎年ワクチン接種が必要となる可能性がある。塩野義では臨床試験などの開発スケジュールを公表していないが、開発に成功すれば、毎年のワクチン接種が手軽に行えるようになる。注射の痛みから解放してくれる経鼻ワクチンとはどのようなものなのか。

鼻からワクチン接種

関連記事はこちら
「新型コロナ」4社4様の日本製ワクチン ようやく臨床試験に
【塩野義製薬】M&Aでワクチンビジネスに参入 5年で全社売上高を1.5倍に

HanaVaxのカチオン化ナノゲルデリバリーシステムは、天然に存在するプルラン(ブドウ糖のみからなる多糖類の一種)を、カチオン化(プラスの電荷を持った陽イオンの性質を持たせる化学反応)し、マイナスイオンとイオン結合させることで粘膜保持性を高める技術。

ワクチンの成分をナノ(ナノは10億分の1)サイズのゼリー状のプルラン内に入れ込み、鼻の中に噴霧することで粘膜に取りつき、粘膜系、全身系両方の免疫を効果的に誘導することができる。

同社によると呼吸器感染症に対するワクチンは、全身系の免疫に加えて、ウイルスの侵入経路である呼吸器粘膜に粘膜免疫を誘導できる経鼻ワクチンが、最も有効なワクチンと考えられている、としている。

HanaVaxは、次世代型経鼻ワクチンの開発を行う創薬ベンチャーで、2020年9月に塩野義との間で、新規経鼻肺炎球菌ワクチンに関するライセンス契約を結んでいる。

2021年中に6000万人分の量産体制に

塩野義は2019年に子会社化したUMNファーマ(秋田市)が持つ昆虫細胞などを用いる、たんぱく質発現技術を活用した新型コロナウイルスワクチンの開発に取り組んでおり、2021年中に年間6000万人分の量産体制が整う見込みという。

同ワクチンは、ウイルスの遺伝子情報から目的のたんぱく質を作り出し体内に投与するもので、すでにインフルエンザワクチンなどで実用化されている。接種には注射が必要となる。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

下水で新型コロナ「変異株」の発生動向を把握「塩野義」がサービスを開始

下水で新型コロナ「変異株」の発生動向を把握「塩野義」がサービスを開始

2021/06/17

塩野義製薬は、下水中に含まれる新型コロナウイルスの濃度を定期的に測定することで、対象地域での新型コロナウイルスの感染状況や変異株の発生動向などの早期検知が可能となる調査サービスを始めた。