「安全保障」と「産業保護」が禁止の理由

ニューヨークタイムズ(3月13日)

3名の執筆者による長文記事「トランプの半導体買収の圧殺は、安全保障に訴えるがゆえに、保護主義に味方する」を掲載した。総花的だが、全体の論調としては、トランプ大統領の決断に否定的である。「トランプ政権は、安全保障を棍棒にして、保護主義の手段で、他国を叩き始めている」と表現したうえで、ホワイトハウスが中国商品へのさらなる関税の導入を画策する姿勢を懸念し、それに対する中国の報復措置を憂慮している。

ユニークな見解も示している。共和・民主政党議員がともに大統領の介入を支持したことに着目し、「両党の融和をもたらした、まれな大統領の判断だ」と締めくくっている。

さらに同紙は3名の有識者のコメントを紹介しているが、見解は分かれている。

―アメリカの保護主義は世界に拡大し、アメリカ自身の首を絞めることに(オバマ前大統領最高経済顧問 Jason Furman氏)

―通常のやり方ではないが、アメリカの明確な政策方針のあらわれだ(アメリカンエンタープライズ公共政策研究所 Derek Scissors氏)

―トランプ政権は「アメリカ経済、および、国の安全保障を守る」というシグナルを打ち出しているが、中国の技術力の発展に直面したことで、これらは実質同一化した(ユーラシア・グループ Paul S. Triolo氏)

ニューヨークタイムズ(3月14日)=編集委員会による賛成記事「合併を阻止したトランプは正しかった」を掲載した。同記事は「(トランプ大統領の決断は)合併契約署名前という異例の早さだったものの、正しい動きだった」と評価。合併が実現すれば半導体ビジネスの世界市場の36%が上位3社に占められることを指摘したうえで、「ボーダコムがシンガポールでなくアメリカの会社だったとしても強引な買収だ」と述べた。大統領の判断を支持する理由として同記事は2点を挙げたが、要約すればどちらも、安全保障と産業保護というトランプ政権の2本柱を支持する内容となっている。

半導体も安全保障の対象に
安全保障面の懸念も大きい(Photo By U.S. Department of Defense)