金融機関や外資系コンサルタント、全国展開する小売りチェーンの再生担当取締役を経て、現在は幅広い業界企業に対する経営者派遣での経営支援や事業戦略立案、R&D戦略等による企業価値向上支援などを手掛けるジェミニ ストラテジー グループのCEO(最高経営責任者)を務める山田政弘氏。そんな山田氏が、豊富な知識と“現場での経験”を踏まえ、実践的な知見やノウハウについてわかりやすく解説する。(第2回はこちら

事業計画作成に当たってのテクニカルな要件

数値計画はExcel、アクションプランや体制などの計画はパワポで

今回は、よりテクニカルな話に移りたい。事業計画は必ずExcel(表計算ソフト)で作ること。直接入力する数値はKPIなどのパラメータだけに留め、売上や原価、販管費などの項目については、基本的には入力したパラメータをもとに計算されて表示されるように式を組んでおこう。

こうすることで、前述したように、事業計画数値がどういう根拠、想定のもとに作られているのかがExcelのシートを見れば(厳密に言えば、セルに入れられている計算式を見れば)理解することができる。

想定が間違っていたり、パラメータの値が楽観的ないしは強気すぎて更新が必要になった場合も、パラメータの値だけを修正すれば、自動的に売上や原価、販管費などの事業計画数値も更新される構造にしておくことで、計画自体の検証もしやすいし、計画の内容についての変更や修正が圧倒的に効率的になる。

基本的に計画数値は月次で作成すると良い。年次の計画だと実施する施策が数ヶ月後ろにずれた時に計画数値を適時修正することが困難になるし、そもそも年次の計画では事業の進捗について計画と実績を対比して追いかける(モニタリング)ことができない。

「粒度」はそこそこに

数値を作成する単位を粒度と呼ぶが、この粒度は一般的には細かければ細かいほど良いが、想定と実績の間に誤差が大きく生じてしまうような細かさまでは必要ない。例えば、前述した営業マンの人件費の事例で言えば、営業マン1人1人の年収を個別に設定する、といった粒度は、計画数値の精度を上げる、という点ではあまり意味がない。

先の例では営業マンは一括りにしたが、例えば開発者のように、プロダクトマネジャー、インフラ開発者、アプリケーション開発者など、職種によって年収水準や想定人数が分けられる場合は、職種ごとの単価(年収)×人数に設定する必要がある。

一方で、個々の営業マンについて、1人1人の年収を個別に設定してみたところで、採用する人によって年収のバラツキ(変動幅)も発生するため、1人当たり平均を設定しても結果としてはあまり変わらないだろう。このような数値は「この辺りが頃合い」という粒度に留めておく必要がある。

数値計画は最低限「損益計算書(PL)」と「キャッシュフロー」は網羅しておくこと。基本的にPLを作成して、キャッシュフローは、例えば売上(収入)や仕入先、外注先などへの費用(支出)は1ヶ月後ろにずらしてそれぞれキャッシュフローの「収入」と「支出」の項目に反映させれば、最低限の作業で作ることができる。