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金融機関との折衝に不可欠な”質の高い”事業計画書の作り方 ~新規事業編〜(3)

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先ずは事業の必然性と効用性を説明しよう

そして、新規事業の場合は特にだが、Excelの数値計画だけでは、事業の必然性や効果、意義などは伝わらない。事業自体の価値を伝えるためには「必然性(なぜその事業が必要なのか)」「効用性(その事業を行うとどれくらいの効果(付加価値)を生んで、その結果としてどれくらいの売上/利益が得られるのか)」「実現可能性(本当に実現出来るのか?)」の3つの項目を押さえたストーリーを計画書としてまとめる必要がある。

ちなみに、この場合の計画書とは数値も含めた全体計画を指す。この全体計画はパワーポイントなど、ストーリーをまとめやすい、伝わりやすいプレゼンテーションツールで作成すること。もちろん、無駄にページ数の多い独りよがりの資料になっても駄目だが、かといってワード1枚、というように無機質な資料ではその事業の価値が伝わりにくい。

先に述べた3つの項目について、ストーリー、流れが明確な資料を作成すると良いだろう。先に作成するExcelでの数値計画はこのストーリーの終盤に貼付すること。数値計画は先に述べた3項目のうちの最後の「実現可能性」を立証するための一つの根拠になるためだ。

プレゼン資料には先に結論を述べるクライマックス法と、最後に結論を述べるアンチ・クライマックス法の2つがあるが、新規事業に適しているのは後者。何故ならば、大抵の場合、聞き手の方に、その事業についての理解や認識自体がないケースが大半のため、いきなり数値=実現可能性を見せても判断材料がない。

まずその事業についての必然性、効用性をきちんと理解してもらった上で、最後に数値計画=実現可能性を説明するようにした方が良い。

資金調達を成功させるためには…

冒頭の方にも述べたが、事業計画が、投資家やレンダー(融資を実施する金融機関)からの信用を得るための伝達ツールであるとするならば、最大の伝達手段はその事業計画を作成した経営者、または経営チームということになる。どんなにテクニカルな要件を押さえた事業計画を作成しても、経営者、経営チームにその計画実現に対する革新とコミットが見られなければ、信用を勝ち獲ることは出来ない。

ベンチャーキャピタル(VC)においては、どの投資家はどういった業界、業種に強いか、反対に弱いか。そのVCの中でもどの担当者が権限を持っていて、当該事業に理解があるか、など、信用を得るために必要な情報を事前に収集し、対応を練ることは不可欠な対応である。

一方で、テクニカルな対策に終始しているだけでは(投資、融資を得るなどの)目的、目標が達成できないケースもある。それはひとえに、経営者、経営チームとして「信用」を獲得できていないからであり、その「信用」は計画の内容と共に、実行者(経営者)自身も評価されて形成されるもの、ということを常に念頭に置いて行動することが肝要だ。

文=山田政弘/ジェミニ ストラテジー グループ株式会社 代表取締役CEO

山田 政弘 (やまだ・まさひろ)

事業投資や戦略立案、経営者派遣やハンズオン(常駐)型経営支援により企業の成長実現・企業価値向上支援を手がけるジェミニ ストラテジー グループ株式会社 代表取締役CEO。

中央三井信託銀行、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)戦略グループ、国内ITベンチャーマーケティングディレクター兼事業開発室長、事業再生コンサルティング会社クライアントパートナー等を経て、全国に店舗を構える靴の製造小売企業株式会社シンコー・株式会社モード・エ・ジャコモの再生担当取締役・事業改革室長としてハンズオンでの経営改革に従事した後、現職。消費財関連のメーカー、小売・流通業やネット企業、外食企業等に対する事業戦略立案、ブランディング、マーケティング支援、製造業に対するR&D戦略等による企業価値向上支援を手がけている。また、ドラッグストアチェーン運営企業やFin tech企業など、複数企業の社外取締役、顧問を務める。

主な著書に『数字を使ってしゃべれるようになるトレーニングブック』(明日香出版)『早わかり 図解&実例 よくわかる!ソーシャル・ネットワーキング』 『エッジ・ワーキング』(ソフトバンククリエイティブ)など。


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